
※この記事には一部PRが含まれます。
お子さんが「落ちたらどうしよう」と泣いたり、机に向かっても勉強が手につかなかったりすると、励ますべきか、休ませるべきか迷うものです。
高校受験への不安が強いときは、無理に励ましたり勉強を促したりせず、まず子どもの気持ちと体調を確認することが大切です。
そのうえで、不安の原因が「成績への心配」「勉強に取りかかれない状態」「心身の不調」のどれに近いかを整理し、休息・学習再開・相談のうち、必要な対応を選びましょう。
この記事では、個別指導塾の教室長として受験生を指導してきた経験をもとに、子どもの状態に応じた対処法、答案を使った不安の整理方法、親の声かけや相談の目安をわかりやすく解説します。
記事のポイント
- 受験の不安を否定せず、まず気持ちを聞く
- 休む・勉強する・相談する判断の目安
- 答案の失点原因から勉強の課題を整理
- 不安を強めない親の声かけと接し方
高校受験が不安でたまらない子どもに、親が最初にできること

「受からないかもしれない」「勉強が手につかない」「眠れない」と訴えられたとき、最初にするのは励ますことでも、勉強を促すことでもありません。
気持ちと体調を聞き取ることです。
不安を否定せず、子どもの話を聞く
「受からないかもしれない」と打ち明けられたとき、すぐに「大丈夫」と返すと、お子さんが次から話さなくなることがあります。
私は教室長として、励ます前に気持ちを受け止め、何を怖がっているのかを聞いていました。
相談が増えたのは秋から冬の直前期で、内容は模試の判定、内申点、友人との比較、不合格への恐怖が中心でした。
聞くときは、次の3点を目安にしてください。
- いちばん気になっていること:「いま一番気になっているのは何?」と聞く
- 怖さの中身:点数なのか、不合格になることなのか、周りとの差なのかを聞き分ける
- 最後まで聞く:途中で訂正や助言を挟まず、話し終えてから返す
理由を問い詰めたり、その場で結論を出したりする必要はありません。
話を聞いたら、何が不安なのかを一緒に整理します。
不安の原因が成績・勉強・心身の不調のどれか確認する
不安の中心がどこにあるかで、必要な対応が変わります。
「勉強しない」ように見えても、成績への不安と体調不良では、必要な対応が異なります。
お子さんの話や様子から、次のどれに近いかを考えてみてください。
- 成績・合否への心配:模試の判定、内申点、過去問の点数、友人との比較から生じる
- 取りかかれない状態:やることの量に圧倒され、どこから始めるか決められない
- 心身の不調:眠れない、食欲が落ちる、頭痛や腹痛が続く
複数が重なっているときは、心身の不調を最優先に考えます。
次の章の表で、どの対応を選ぶかを決めます。
子どもの状態で判断する|休む・勉強・相談の選び方

お子さんの状態に合わせて、休息・学習再開・相談のどれを優先するか、次の表で確認してください。
| 子どもの状態 | 優先する対応 | 親ができること |
|---|---|---|
| 眠れない、体調が悪い | 休息・必要に応じた相談 | 勉強を無理に促さず、体調を確認する。症状が続く場合は受診を検討する |
| 体調に大きな問題はないが、何から勉強すればよいか分からない | 小さな課題から学習を再開 | 取り組む課題を減らし、無理のない量を一緒に決める |
| 強い不安が続き、学校生活や日常生活に影響している | 学校や専門家への相談 | 子どもの話を聞き、スクールカウンセラーや医療機関などにつなぐ |
休息と相談は両立します。症状が強い場合は、相談を後回しにしないでください。
眠れない・体調が悪いときは休息を優先する
睡眠不足や体の不調があるときは、勉強より休養を先にします。
私は、睡眠不足や身体症状、反応の著しい遅れが見られる生徒には、学習より休養を優先していました。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、中学・高校生の睡眠時間の指標として8〜10時間が示されています。
この時間に届かない日が続いているなら、睡眠を見直す対象です。
回復に必要な日数には個人差があるため、体調や睡眠の様子を見ながら休ませてください。
数日休んでも強い疲労感や不眠が続くときは、スクールカウンセラーや医療機関への相談を考えます。
勉強への焦りが中心なら小さな課題から始める
体調に大きな問題がなく、やることの多さに圧倒されているなら、量を小さくして再開します。
私は、課題の多さに圧倒されている生徒に、「英単語を10分」「計算問題を3問」といった小さな課題を設定していました。
本人が無理なく取り組める量から始める方法です。
小さな課題から始めやすい状態と、休息や相談を優先したい状態を整理します。
- 小さな課題から始めやすい状態: 睡眠や食欲が普段どおりで、頭痛や腹痛などの不調が見られない
- 小さな課題から始めやすい状態: 勉強量の多さに圧倒され、何から手をつければよいか迷っている
- 休息や相談を優先したい状態: 寝つけない、朝起きられないなど、睡眠のリズムが崩れている
- 休息や相談を優先したい状態: 激しく泣く状態が続く、呼びかけへの反応が普段より鈍いなど、強い消耗が見られる
後者に当てはまるときは、学習の再開を促さず、休養と相談を優先します。
これは診断ではなく、対応を選ぶ目安です。
不安が強く続くときは学校や専門家に相談する
不眠や食欲の低下、強い気分の落ち込み、登校が難しくなるなど、日常生活に影響が出ている場合は、家庭だけで抱えず学校や医療機関に相談してください。
症状が強いときは、長く続くのを待たずに相談して構いません。
これは診断の基準ではなく、相談を考える目安です。
私は、強い不安が生活に深刻な影響を与えていると感じた場合、保護者の方と状況を共有し、学校のスクールカウンセラーや医療機関への相談を勧めていました。
塾でできることと、専門家に任せることを分けて考えるためです。
学校・塾・スクールカウンセラーなど相談先を使い分ける
相談先は、悩みの種類で選びます。成績や出願の話は学校や塾、心身の不調は学校の相談窓口や医療機関が向いています。
主な窓口を表にしました。
| 相談先 | 主な相談内容 | 相談方法・注意点 |
|---|---|---|
| 24時間子供SOSダイヤル | 子どもの不安や悩み、学校生活など |
0120-0-78310 24時間対応。子どもや保護者が電話で相談できる |
| スクールカウンセラー | 受験への不安、ストレス、学校生活の悩み | 担任などを通じて相談方法や予約の必要性を確認する |
| 担任・進路指導の先生 | 内申点、志望校、併願校、進路の悩み | 学校の面談などで、成績や志望校について相談する |
| 通っている塾 | 模試や過去問の分析、学習計画、勉強の進め方 | 学習上の課題を整理し、対応できる内容を塾に確認する |
| 医療機関 | 不眠、頭痛、腹痛、食欲の低下などの心身の不調 | 症状に応じた診療科を選び、受診方法を確認する |
相談先に迷ったときは、担任やスクールカウンセラーに相談してください。
合格できるか不安な子どもには、成績と気持ちを分けて対応する

「受からないかもしれない」という不安は、気持ちと成績上の課題に分けて考えると、今できることが見えてきます。
内申点や過去問の結果だけで合否を決めつけない
過去問の点数や今の内申点だけで、不合格と決めるのは早すぎます。
公立高校の入試では、学力検査や調査書などをもとに選抜が行われます。
評価する項目や配点は、都道府県、学校、選抜方式によって異なります。
「もう無理」と感じても、その気持ちと実際の成績は分けて考えることが大切です。
私の指導でも、点数だけで不合格と決めつけず、答案から改善できる点を探すことを大切にしていました。
志望校の選抜方法は、学校の先生に聞いて確かめてください。
答案の失点原因を3つに分けて確認する
失点を3つに分けると、直せるところが見つかります。
私は、生徒の不安を聞いて気持ちを受け止めたあとで、答案を見て失点原因を次のように分けていました。
| 失点原因 | 確認すること |
|---|---|
| ケアレスミス | 解き方は理解していたか。計算間違いや問題文の読み違いがなかったか |
| 演習不足 | 同じ形式の問題を十分に練習していたか。解く手順や時間配分に慣れていたか |
| 未習得 | 正解に必要な知識や解き方を理解し、自分で説明できるか |
これは指導経験に基づく整理方法の一例で、すべての失点をきれいに分類できるわけではありません。
すべてを分類できなくても、改善できそうな問題が見つかれば、次に取り組むことが明確になります。
順番は、気持ちを聞くのが先で、答案を見るのが後です。
気持ちが落ち着かないうちに点数の話をすると、反発につながることがあります。
合格に必要な点数から逆算し、学校や塾の先生と課題を整理する
目標点から学習課題を整理するときは、学校や塾の先生と相談しましょう。
私は、合格に必要な点数と、優先して取り組む問題を整理していました。
合格最低点を公表していない学校もあるため、家庭だけで合否の目安を判断せず、学校や塾の先生に相談しましょう。
進め方は次のとおりです。
- 目標点を先生に聞く:公表されている最低点や模試の基準点を参考に、在籍校や塾の先生と話す
- 答案と照らす:失点の3分類と合わせて、どこで点が取れるかを見る
- 優先する問題を絞る:すべてを直そうとせず、効果が出やすいものから決める
正確な合格点を必ず算出できるとは限りません。
それでも、先生と話すことで「何から手をつけるか」は決められます。
受験勉強の進め方に迷っている方へ
模試や過去問の結果をもとに、何から勉強すればよいか迷っている場合は、オンライン個別指導への相談も選択肢の一つです。
高校受験の不安を強めない親の接し方

親の声かけは、不安を軽くすることも、強めることもあります。
成績の話と気持ちの話を分けて、家庭では安心して話せる関係を優先します。
成績を問い詰めず、努力を認める言葉をかける
家庭では成績を追及せず、努力の中身を認める言葉を選びます。
私は保護者の方に、成績を繰り返し問い詰めるより、お子さんが取り組んできた努力を認める声かけを提案していました。
学習面の分析は塾や学校と分担し、家庭では子どもが不安を話せる関係を大切にしてほしい、という考えです。
避けたい例は、「その点数で受かるの?」といった問いかけです。
成績を責められていると感じ、お子さんが身構えることがあります。
例えば、次のように言い換えられます。
- 「今日も机に向かっていたね」
- 「間違えた問題を解き直していたね」
結果ではなく、見える行動を認める言い方です。
子どもが不安を打ち明けやすい家庭での対応
不安を話してくれた場面では、評価せずに聞くことが先です。
「そんなに心配しなくていい」と評価したり、「じゃあ明日から頑張りなさい」と結論を出したりすると、次から話してくれなくなるおそれがあります。対応の順番は次の3つです。
- 最後まで聞く:途中で訂正や助言を挟まない
- 一言だけ受け止める:「そう感じているんだね」と返す
- 結論を出さない:成績や勉強の進め方は、塾や学校の先生と整理する
家庭の役割は、成績の管理ではなく、安心して過ごせる場所であることです。
不合格への恐怖が強いときは選択肢を一緒に確認する
不合格への恐怖が強いときは、進路が一つだけではないことを、先生と一緒に確かめます。
私は、併願校などの選択肢を保護者の方とも共有し、お子さんの恐怖を必要以上に強めないよう関わっていました。
私立高校の併願優遇や入試相談は、地域や学校によって利用条件が異なります。
中学校の先生に相談し、志望校の最新の募集要項を確認してください。
併願優遇は、合格を保証する制度ではありません。
制度の細かい内容や志望校選びは、この記事では扱いません。
【Q&A】高校受験が不安でたまらない子どもへの対応

Q. 子どもが受験の不安で泣くときはどうすればよい?
A. 泣いている最中は、理由を聞き出したり助言したりせず、背中に手を添えるなどしてそばにいます。
気持ちが落ち着いてから、睡眠や食事、体調の様子を聞いてください。
泣くこと自体は異常ではありません。
泣く状態が続いて日常生活に影響しているときは、学校や専門家への相談を考えます。
Q. 休ませると勉強が遅れるのでは?
A. 睡眠不足や強い疲労があるときは、勉強の遅れを心配して無理に続けさせるより、休息を優先してください。
体調が落ち着いてから、本人が取り組める量を学校や塾の先生と相談する方法があります。
再開するときは、「英単語10分」「計算問題3問」のような小さな単位から始める例があります。
Q. 高校受験の不安で夜も眠れないときはどうする?
A. 家庭では、朝に日光を浴びる、寝る前にスマートフォンなどの画面を見る時間を減らすといった、生活リズムの調整から試せます。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」やe-ヘルスネットで紹介されている考え方です。
これで眠れるようになるとは言い切れません。眠れない日が続くときは、スクールカウンセラーや医療機関に相談してください。
Q. 高校受験は意外と受かると励ましてもよい?
A. 根拠のない合格の保証は避けたほうが無難です。
入試は定員のある競争選抜で、不合格になる受験者も出ます。「意外と受かる」と言われても、本人は安心できないことがあります。
代わりに、過去問の失点の整理、これまで積み重ねてきた学習、併願校の確認など、確かめられる事実をもとに話してください。
まとめ|子どもの状態に合わせて、親ができることを一つ選ぼう

不安をなくそうとするより、今の状態に合う行動を一つ選ぶほうが、現実的に動けます。
記事の重要ポイント
この記事の要点は、次の4つです。
- 気持ちを先に聞く:励ましや勉強の促しより前に、何を怖がっているのかを聞く
- 状態を3つに分けて見る:成績への心配、取りかかれない状態、心身の不調のどれに近いかで対応が変わる
- 成績の不安は事実と気持ちを分ける:失点をケアレスミス・演習不足・未習得に分け、目標点は先生と整理する
- 家庭は安心の場にする:成績の分析は塾や学校と分担し、親は努力を認める声かけと見守りを担う
迷ったときの判断基準と次の行動
迷ったときは、体調、勉強への取りかかり、日常生活への影響の順に見ます。
- 眠れない・体調が悪い:勉強を促さず休息を優先し、続くときは相談する
- 体調は落ち着いていて、何から始めるか分からない:10分や3問など、小さな課題から始める
- 不調が長引いている・生活に影響している:スクールカウンセラーや医療機関へ相談する
今日できることは、一つで十分です。
「今、一番気になっているのは何?」と聞く、睡眠や食事の様子を確認する、担任や塾の先生に相談するなど、できることから始めてください。
夜間に話したいときは、24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)も選べます。
執筆者プロフィール

※この記事は、個別指導塾で3年間の教室長経験があり、受験メンタルトレーナー資格を保有する篠原恵理が執筆しています。小学生・中学生の学習面や精神面のサポート、保護者対応に携わってきた経験をもとに、教育現場で培った知見を記事に反映しています。
篠原恵理は、勉強への不安や意欲の低下、テスト前の焦り、受験期のストレスなど、生徒が抱える心理的な悩みへの対応を得意としています。保護者の声かけや接し方についても、親子が安心して受験に向き合えるよう、具体的で実践しやすい方法を紹介しています。
塾オンラインドットコム:公式サイト、公式Instagram
姉妹サイト
高校受験のその先、大学受験を見据えた学習環境をお探しの方には、姉妹サイトの「予備校オンラインドットコム」が役立ちます。
高校生向けの勉強法や志望校選びのポイントなど、役立つ情報を幅広く発信しています。ぜひ、あわせて参考にしてください。
▶大学受験対策なら!予備校オンラインドットコム