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物語文が苦手なお子さんに「どう思った?」と聞いてみても、なんだか要領を得ない答えが返ってくる……。
そんな経験はありませんか。
実は、物語文が苦手といっても、その原因はひとつではありません。
お子さんがどこでつまずいているかを見分けてあげさえすれば、家庭で何をどう教えればよいかが見えてきます。
この記事では、お子さんのつまずきを正しく見つける診断方法と、音読から設問まで段階的に進める5つの指導手順を具体的に紹介します。
記事のポイント
- お子さんのつまずいている原因が見つかる
- 気持ちを直接聞かない具体的な声かけ
- 本文から根拠を探す5つの指導手順
- テストで点数が伸びないときの解決策
まず確認したい|物語文が苦手な子のつまずき診断

物語文が苦手と一括りにする前に、どこで止まっているのかを確認します。
つまずきの場所によって、家庭で教えるべき内容は変わります。
物語文が苦手な子のつまずきは、大きく5つに分かれます。
どこに当てはまるかを先に確認すると、次に何を教えればよいかが判断しやすくなります。
| つまずきの種類 | 見分け方(観察サイン) | 家庭で次に教えること |
|---|---|---|
| 音読のつまずき | 句読点を無視する、文節の途中で区切る、語尾を勝手に変えて読む | 意味のまとまり(文節)で区切って読み直す |
| 場面把握のつまずき | 「いつ」「どこ」が変わったことに気づかず、状況を混同する | 「翌朝」「公園で」など場面が変わる言葉を確認する |
| 主観読みのつまずき | 「自分ならこう思う」と自分の感想で答える | 「この主人公はどう感じたか」を本文描写から探させる |
| 根拠欠如のつまずき | 答えは言えるが「本文のどこに書いてある?」と聞くと指させない | 該当する文章を指させ、証拠を示す習慣をつける |
| 設問処理のつまずき | 「なぜ」を聞かれているのに「様子」を答える、人物を取り違える | 設問文の「誰の」「なぜ/どういうこと」に線を引かせる |
この一覧で分かるのは、どのつまずきも「読む力がない」という単純な話ではないという点です。
原因の所在が違えば、教えるアプローチも変わります。
物語文だけでなく、読解力や漢字、作文など国語全体の家庭学習の進め方を総合的に見直したい方は、「小学生の国語勉強法と苦手の原因を見つけて伸ばす方法」もあわせて参考にしてみてください。
音読で区切りや読み飛ばしを確認する
私は、物語文が苦手な生徒を指導するとき、最初に音読を聞いていました。
正解できるかを見る前に、文章そのものをきちんと追えているかを確認するためです。
特に、次のような読み方がないかを見ていました。
- 句読点を無視して読み続けていないか
- 文節の途中で不自然に区切っていないか
- 単語だけを拾うように読んでいないか
- 会話文になっても読み方やトーンが変わらないか
こうした様子が見られる場合は、登場人物の気持ちを考える前に、文章を正確に読むところでつまずいている可能性があります。
文部科学省『小学校学習指導要領解説 国語編』でも、物語文では登場人物の心情などを描写をもとに捉えることが示されています。
描写を読み取るためにも、まず文章を丁寧に追えることが土台になります。
拾い読みが目立つ生徒には、私は意味のまとまりごとに区切って読ませていました。
「今、どこで区切った?」と聞きながら一緒に確認すると、どこで読み方が崩れているのかを見つけやすくなります。

文章に登場する言葉の理解や漢字の読み書きに不安がある場合は、「漢字が苦手な子どものための正しい勉強法と覚え方ステップ」を参考に基礎の語彙力を補強しておきましょう。
時や場所の変化を追えているか確認する
私は、音読ができている生徒でも、時や場所の変化を追えているかを確認していました。
文章は読めていても、場面が切り替わったことに気づかない生徒がいるためです。
特に、次のような点を見ていました。
- 「翌朝」など、時間の変化に気づいているか
- 「公園で」など、場所の変化を捉えているか
- 前の場面と今の場面を混同していないか
- 登場人物が今どこにいるのか説明できるか
場面の変化を見落としている生徒には、「さっきまでどこにいた?」「今は何時ごろ?」と聞いていました。
答えに迷うようなら、時や場所を示す言葉まで本文を戻って一緒に確認します。
学習塾の指導では、時や場所を示す言葉に印をつけながら読ませていました。
文章を読むだけで終わらせず、「ここで場面が変わったね」と確認することで、物語の流れを整理しやすくなります。

自分の感想だけで答えていないか確認する
私は、生徒が「自分の感想」と「登場人物の気持ち」を分けて考えられているかも確認していました。
例えば、「主人公はどう思った?」と聞いたときに、「自分なら悔しい」と答えることがあります。
この場合は、本文より自分の気持ちをもとに考えている可能性があります。
特に、次のような答え方がないかを見ていました。
- 「自分だったら」と自分の立場で答えている
- 本文にない気持ちを想像して答えている
- なぜその気持ちだと思ったのか説明できない
- 答えの根拠となる文章を本文から示せない
こうしたときも、私は生徒の答えをすぐに否定しませんでした。
「その考えのヒントになった言葉は本文のどこ?」と聞いて、もう一度本文へ戻していました。
物語文では、「自分ならどう思うか」と「この登場人物はどう思ったか」は別です。
生徒の感想を受け止めたうえで、本文のどこからそう考えたのかを一緒に探す。
このやり取りを繰り返しながら、登場人物の心情を本文から考える読み方へ切り替えていました。

本文から答えの根拠を示せるか確認する
塾では、答えが合っているかだけではなく、「なぜその答えにしたのか」を本文から説明できるかも確認していました。
内容を理解しているように見えても、理由を聞くと答えられない生徒がいます。
この場合は、文章全体の印象や勘で答えている可能性があります。
特に、次のような点を見ていました。
- 答えの根拠となる部分を本文から指させるか
- 「なぜそう思ったの?」と聞くと説明できるか
- 自分の考えと本文に書かれていることを分けられるか
- 正解した問題でも、根拠となる言葉を見つけられるか
文部科学省『小学校学習指導要領解説 国語編』でも、第5・6学年では、人物像や物語などの全体像を具体的に想像したり、表現の効果を考えたりすることが示されています。
私は正解した問題でも、「本文のどこからそう考えた?」と聞いていました。
答え合わせだけで終わらせず、根拠となる言葉まで戻って確認することで、本文をもとに答えを考える読み方につなげていました。

設問の条件を正しく読めているか確認する
私は、内容を理解できているのに点数につながらない生徒には、設問の読み方も確認していました。
本文から根拠を見つけられていても、「何を聞かれているのか」を取り違えると正解にはつながりません。
特に、次のようなミスがないかを見ていました。
- 「なぜ」と聞かれているのに、人物の様子を答えている
- 誰の気持ちを聞かれているのか取り違えている
- 「どういうこと」と「なぜ」の違いを意識していない
- 設問の最後まで読まずに答え始めている
こうした生徒には、設問文の「誰の」「なぜ」「どういうこと」など、答える条件になる部分に線を引かせていました。
私は、すぐに問題を解かせるのではなく、「この問題は何を聞いている?」と一度確認してから答えさせていました。
本文が読めているのに間違える場合は、読解力だけを疑うのではなく、設問の条件を正しくつかめているかまで確認することが大切です。
小学生の物語文は5つの手順で順番に教える

つまずきの場所が分かったら、次は教える順番です。
物語文の指導は、全体像をつかんでから細部に進む流れが基本になります。
全部を毎回やる必要はありません。次の項目ができていれば、その次の段階へ進んで構いません。
- 音読:文節・句読点を意識して読める
- 場面:時・場所の変化を説明できる
- 人物:人物同士の関係を説明できる
- 心情:出来事と行動を根拠に説明できる
- 設問:何を聞かれているか確認して答えられる
手順1|音読して文章の流れを確認する
私は、物語文を教えるとき、最初に音読から始めていました。
いきなり登場人物の気持ちや設問を考えさせるのではなく、文章を意味のまとまりで読めているかを先に確認します。
音読では、特に次の点を見ていました。
- 句読点で自然に区切って読めているか
- 文節の途中で不自然に切っていないか
- 単語だけを拾うような読み方になっていないか
- 大きくつっかえずに文章を読み進められるか
ここで読み方が崩れている場合は、場面や心情の説明には進まず、音読まで戻っていました。
反対に、句読点や文節を意識して読み通せるようになったら、次の「時と場所で場面を整理する」手順へ進みます。
一度にすべてを教えるのではなく、音読ができたら場面整理へ進むというように、一つずつ確認していました。

手順2|時と場所で場面を整理する
音読ができたら、「いつ」「どこで」に注目させながら、物語を場面ごとに整理していました。
文章を最初から最後まで一つの話として捉えるのではなく、時や場所が変わったところで区切って考えます。
場面を整理するときは、特に次の点を確認していました。
- 「翌朝」など、時間を示す言葉がないか
- 「学校で」など、場所を示す言葉がないか
- 時間や場所がどこで変わったか説明できるか
- 今、登場人物がどこにいるのか分かっているか
私は、時や場所を示す言葉が出てきたら、本文に印をつけながら読ませていました。
目印をつけることで、場面が切り替わったところを確認しやすくなります。
生徒自身が「ここで朝になった」「ここから学校の場面に変わった」と説明できれば、次の手順へ進みます。
説明できない場合は、そのまま先へ進まず、「いつ変わった?」「どこに移った?」と聞きながら、時や場所を示す言葉まで一緒に戻って確認していました。

手順3|登場人物と関係を整理する
場面を整理できたら、「誰が登場しているのか」「人物同士がどんな関係なのか」を確認していました。
登場人物の関係を取り違えると、誰が誰に対して抱いた気持ちなのかも分かりにくくなるためです。
特に、次のような点を見ていました。
- 主人公は誰なのか
- ほかに誰が登場しているのか
- 登場人物同士はどんな関係なのか
- 誰が誰に対して話したり行動したりしているのか
人物が多くて混乱している場合は、私は名前を書き出し、簡単な図や矢印を使って関係を整理させていました。
例えば、「家族」「協力している」「対立している」など、本文から分かる関係を確認します。
複雑な図を作ることが目的ではありません。
生徒自身が「この2人は家族」「この場面では、この人が主人公に怒っている」のように説明できれば、次の心情を読み取る手順へ進んでいました。

▶国立教育政策研究所「登場人物の相互関係や心情に着目する授業例」
手順4|出来事と行動から心情を読む
登場人物の関係まで整理できたら、私は心情の読み取りへ進んでいました。
ここでは、いきなり「主人公はどう思った?」とは聞きません。
気持ちを当てさせるのではなく、本文に書かれた出来事や行動から順番に考えさせていました。
特に、次のような点を確認していました。
- 直前に何が起きたのか
- そのとき登場人物は何をしたのか
- 表情や話し方に変化はないか
- その行動からどんな気持ちが考えられるか
例えば、「うつむいた」「拳を握りしめた」といった行動があれば、その部分を一緒に確認します。
文部科学省『小学校学習指導要領解説 国語編』でも、登場人物の心情は、行動や会話、情景などの描写と結びつけて読むことが示されています。
私は「直前に何が起きた?」「そのとき、どんな行動をした?」と聞きながら、出来事→行動→心情の順で考えさせていました。
生徒が本文の言葉を根拠に「この出来事があって、こんな行動をしたから、こう感じたと思う」と説明できれば、次の設問演習へ進んでいました。

手順5|本文の根拠を使って設問を解く
最後に、私はここまで読み取った内容を使って、実際の設問を解かせていました。
この段階では、答えが合っているかだけではなく、「本文のどこを根拠にしたのか」を説明できるかを確認します。
特に、次のような点を見ていました。
- 設問で何を聞かれているか理解しているか
- 答えの根拠を本文から見つけられるか
- 根拠となる部分を実際に指させるか
- 選択肢と本文の内容を照らし合わせているか
私は、正解した問題でも「本文のどこからそう考えた?」と聞いていました。
たまたま正解したのか、本文を根拠に考えたのかを確認するためです。
選択肢問題でも、感覚だけで「これだと思う」と選ばせず、選択肢と本文を一つずつ照らし合わせていました。
生徒が「問題で聞かれていることを確認する→本文から根拠を探す→答えを決める」という流れで解けるようになれば、私は5つの手順がつながってきたと判断していました。
登場人物の気持ちが分からない子への教え方

学習塾でも、気持ちを聞かれて答えに詰まる生徒が見られました。
直接聞く前に、聞き方そのものを変える必要があります。
「どう思った?」より直前の出来事を聞く
私は、心情をうまく言葉にできない生徒に、いきなり「主人公はどう思った?」とは聞かないようにしていました。
先に本文に書かれている事実を確認します。
- 直前に何が起きたのか
- 誰が何をしたのか
- その前後で何が変わったのか
例えば、「直前に何が起きた?」と聞いて、まず出来事を整理させます。
私の指導では、いきなり気持ちを考えさせるより、出来事を確認してから心情へ進むことで、考えるきっかけを作っていました。

会話や行動から気持ちのヒントを探す
出来事を確認したら、登場人物の行動や会話に注目させていました。
特に、次のような描写を一緒に探します。
- 顔や体がどう動いたか
- どんな行動を取ったか
- どんな話し方をしたか
例えば、「うつむいた」「小さな声で言った」といった表現です。
私は「顔はどうなっている?」「どんな声で言った?」と聞きながら、該当する部分を一緒に確認していました。
気持ちが直接書かれていなくても、こうした行動や会話を手がかりにすると、登場人物の心情を考えやすくなります。

「本文のどこ?」と根拠へ戻す
生徒が自分の感想で答えたときも、私はすぐに否定せず、本文へ戻すようにしていました。
そのときは、次のように聞きます。
- 「その考えのヒントは本文のどこ?」
- 「そう思った言葉を指してみて」
- 「主人公はどんな行動をしていた?」
大切なのは、正解を教えることではなく、生徒自身に根拠を探してもらうことです。
私はこの声かけを繰り返しながら、「自分がどう思うか」ではなく、「本文のどこからそう考えたか」を確認する読み方へ戻していました。

自分の感想と登場人物の心情を分ける
私は、「自分ならどう思うか」と「登場人物がどう思ったか」を分けて考えられているかも確認していました。
特に、次の違いを意識させます。
- 自分の感想:自分が感じたことを自由に考える
- 登場人物の心情:本文の描写を根拠に考える
読書感想文なら、自分がどう感じたかを書くことが大切です。
物語文の設問では、登場人物の行動や会話などを手がかりに心情を考えます。
私は「自分だったら」ではなく、「この主人公はどう感じたと思う?」と聞き、本文に書かれた描写へ戻すようにしていました。
物語を読んで自分なりの感想を文章にまとめる練習をしたいときは、「読書感想文の書き方と親子のコツ」を参考に自分の思いを言葉にしてみましょう。
内容は分かるのに物語文の問題が解けない原因

本は読めるし内容も理解しているのに、テストの物語文では点が取れない。
これは読書量とは別の原因が関わっています。
学習塾では、読書が好きな生徒でも、傍線部の前後だけを見る、設問の条件を読み落とす、本文にないもっともらしい選択肢を選ぶ、といったつまずきが見られました。
読書が好きでも、読解問題を解けるとは限らないということです。
傍線部の前後だけで答えを探している
設問を解くとき、傍線部の直前直後だけを慌てて探してしまう生徒がいます。
物語文の心情の根本原因は、傍線部から離れた前段の出来事や設定に書かれていることが多くあります。
近くだけを見る癖がついていると、遠くにある根拠を見逃してしまいます。
「傍線部の前だけじゃなくて、もう少し前のページも見てみようか」。
この一言で、探す範囲を広げる習慣がつきやすくなります。

「なぜ」「どういうこと」を読み落とす
設問には、理由を聞くタイプ(「なぜ」「〜から」で答える形式)と、内容を説明するタイプ(「どういうこと」「〜こと」で答える形式)があります。
この違いを意識せずに答えると、聞かれている形式とずれた答えを書いてしまいます。「理由」を聞かれているのに様子を説明してしまう、というミスは典型的です。
問われている形式に合わせた文末で答える。このルールを、設問文を音読させながら一緒に確認してください。

聞かれている登場人物を取り違える
登場人物が複数出てくる場面で、主人公以外の心情を聞かれているのに、主人公の気持ちで答えてしまうミスもよく見られます。
設問文の「誰の」という部分に必ず印をつける習慣をつけると、このタイプの取り違えは減らしやすくなります。
誰について聞かれているのかを、答える前に声に出させてみてください。

本文にない選択肢を正解にしてしまう
選択肢問題では、一般論としては正しそうに見えるが本文には書かれていない選択肢や、度合いが極端すぎる「言い過ぎ」の選択肢に引っかかりやすくなります。
選択肢の正誤は、「自分の常識に合うかどうか」ではなく、「本文の記述と一致するかどうか」で判断します。
この基準を繰り返し伝えることが大切です。
選択肢ごとに、本文のどこに対応するかを指させてみてください。
指せない選択肢は、本文にない情報が混ざっている可能性があります。
物語文の教え方で避けたい3つの失敗

家庭で教えるときに陥りやすい失敗が3つあります。
いずれも、私自身が指導の中で経験した失敗がもとになっています。
- 丸暗記→文脈が変わると対応しにくい:心情語や解法パターンをそのまま覚えさせる教え方
- 主観だけで考える→本文から離れる:「自分ならどう思う?」だけで答えさせる教え方
- 答えを先に教える→根拠を探す経験が減る:困っているとすぐ正解を伝えてしまう教え方
心情語や解法だけを丸暗記させる
私の指導でも、心情語リスト(「うつむく=悲しい」「肩を落とす=落胆」など)を暗記させ、解法パターンを先行して指導していた時期がありました。
この方法は、文章の表現が少し変わったり、嬉し泣きや照れ隠しの怒りのような複雑な心情が描かれたりすると、覚えたパターンを機械的に当てはめて誤答が頻発するという課題がありました。
この経験から、言葉の丸暗記を廃止し、「直前の出来事」と「行動描写」を本文から証拠として探し出す指導手順へ切り替えています。
文脈と切り離した暗記は、応用が利かない読み方につながります。

「自分ならどう思う?」だけで考えさせる
「あなたならどう思う?」という問いかけは、生徒の共感力を育てる意味では有効です。
これだけで物語文の読解力が伸びるわけではありません。
かえって主観読みから抜け出しにくくなるという面があります。
テストで求められているのは、「この登場人物はどう感じているか」を本文の描写から読み取る力です。
共感を否定する必要はありません。そのうえで、「この主人公の立場だったら」という視点に切り替える問いかけを加えてください。

答えを先に教えて根拠を探させない
生徒が答えられずに困っていると、つい正解を教えたくなります。
ですが、これを繰り返すと、生徒自身が本文から根拠を探す思考の機会を失ってしまいます。
学習塾では、答えそのものを伝えるより、「この直前に何があった?」と探す範囲を絞り、本文から根拠を見つけさせる方法を取っていました。
答えそのものを教えるのではなく、根拠が書かれている範囲を示して自力で探させる。
「このあたりに書いてあるよ」と範囲だけ絞ってあげる関わり方です。
家庭で使える物語文の具体的な声かけ

ここまでの内容を、実際に使えるフレーズとして整理します。
私の指導で実際に使っていた声かけです。
| 場面 | 声かけ | ねらい |
|---|---|---|
| 心情を確認したいとき | この直前に何が起きた? | 感情のきっかけを出来事から探させる |
| 心情の手がかりを探すとき | どんな行動をした? | 行動描写から心情へつなげる |
| 主観読みになっているとき | ヒントは本文のどこ? | 本文へ戻る習慣をつける |
| 設問を解く前 | 何を聞かれている? | 設問条件の読み落としを防ぐ |
家庭で保護者が根気強く声をかけても感情的になってしまったり、客観的なつまずきの特定が難しいと感じたりする場合は、マンツーマンで指導してくれる「小学生向けおすすめオンライン家庭教師」を検討するのも一つの手段です。
「この直前に何が起きた?」と聞く
心情を聞く前に、まず出来事を確認します。出来事の確認を通じて、生徒自身が感情の因果関係に気づけるようになります。
答えられない場合は、本文を一緒に指でたどりながら「ここで何かあったね」と探してあげてください。

「どんな行動をした?」と聞く
登場人物の身体的な動作、表情、話し方に注目させる質問です。行動描写を拾い上げることで、心情を推測するための客観的な材料が揃います。
「顔は?」「声は?」「手は?」のように、体の部位を具体的に聞くと、生徒は答えやすくなります。

「ヒントは本文のどこ?」と聞く
自分の感想で答えたときに使う声かけです。本文を指ささせることで、答えの根拠は本文の記述にあるという原則を徹底します。
指させなかった場合は、否定せずに「一緒に探してみようか」と続けてください。

「何を聞かれている?」と確認する
設問を解く前に、設問文の末尾(理由・気持ち・人物)を生徒自身に音読・確認させます。
問題で何を聞かれているかを意識する習慣をつけることで、ケアレスミスによる失点を防ぎやすくなります。
解き始める前に、この一言を挟むだけでミスが減らしやすくなります。
家庭で「本文のどこ?」と問いかけても、うまく教えられないことがあります。
国語専門のオンライン個別指導「ヨミサマ。」では、1対1の対話を通して、「なんとなく」ではなく根拠をもとに考える読み方を学びます。
読み聞かせと音読はどう使い分ければよいのか

「親が読んで聞かせるのは甘やかしではないか」という疑問を持つ保護者は少なくありません。
読み聞かせと音読には、それぞれ役割があります。
初回は親が読んで物語の全体像をつかむ
私は、子どもが一人で読むのが難しい場合、最初に親がお手本として読んで聞かせてもよいと考えています。
この段階では、細かな問題を解くことより、次のような内容をつかむことを優先します。
- どんな出来事が起きたのか
- 誰が登場したのか
- どこで場面が変わったのか
- 物語がどのように進んだのか
親が読むことは、子どもの代わりに問題を解くことではありません。
最初に物語の大まかな流れをつかませ、その後に子ども自身で本文を読ませる。
この順番で進めると、音読や場面整理にもつなげやすくなります。

音読では区切りや読み飛ばしを確認する
生徒自身の音読は、読みのつまずきを可視化する診断の役割を持ちます。
範読を聞いて内容を理解した後でも、実際に自分で読ませてみると、語彙力不足や文節認識の乱れが見えてくることがあります。
音読は単なる発声練習ではなく、親が子どもの読みのつまずきを発見するためのツールです。

聞くだけで終わらず本文で確認する
親がお手本として読んだあとは、聞くだけで終わらせず、子ども自身にも本文を確認させます。
私は、次のような声かけをしていました。
- 「今の場面はどこに書いてあった?」
- 「その気持ちが分かる言葉はどこ?」
- 「この出来事はどこに書いてある?」
親が読むことで物語の流れをつかみやすくなりますが、テストでは子ども自身が文章を読んで答える必要があります。
そのため、私は読み聞かせをきっかけにして、最後は子ども自身が本文から根拠を探すところまで確認していました。
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文章題にも強くなる「一生モノ」の読解力
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【Q&A】小学生の物語文でよくある質問

小学生の物語文の教え方について、保護者の方からよくいただく疑問や不安をQ&A形式で分かりやすく解説します。
Q.物語文は低学年でも同じ5手順で教えますか?
基本的な手順(音読→場面→人物→心情→設問)の順序は、学年を問わず共通です。
低学年の場合は複雑な人物関係図の作成を省き、音読・場面・行動・簡単な心情に絞って進める方が現実的です。
学年だけで一律に指導法を制限することはできません。
文字量や整理の複雑さを、お子さんの様子に合わせて調整してください。

Q.本好きなのに物語文で間違えるのはなぜ?
読書は自分のペースで世界観を楽しむ「主観的な没入」ですが、テストの読解は本文の記述から証拠を探す「客観的な処理」です。
求められる読み方が異なります。
東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所の共同調査では、読書時間が長い子どもほど語彙力のスコアが高い傾向が示されています。
読解力テストの得点については、読書時間だけでなく、読み終えた後に親子で内容について対話する習慣との関連も見られると報告されています。
読書時間と読解力の因果関係まで断定はできませんが、対話を伴う読み方が意味を持つ可能性を示すデータといえます。
読書が好きな子でも、感覚で読む癖がついていると設問の条件を見落として失点するケースがあります。
物語文の設問対策としては、読んだ後に本文のどこが根拠だったかを一緒に確認する時間をつくると効果的です。

Q.親が読み聞かせるだけでも効果はありますか?
家庭でも、答えを教える代わりに「探す場所」と「問いかけ」を用意するスタンスを取ってみてください。
全体のストーリー把握や語彙力、背景知識の向上には有効です。
それだけで完結させないことが重要です。
最終的にテストを解くには、子ども自身が文字を目で追い、本文の根拠を指さす練習が欠かせません。
読み聞かせは導入として位置づけ、その後に本文で確認する時間を必ず作ってください。

Q.子どもが答えられないときは、どこまでヒントを出せばよいですか?
私の指導では、すぐに正解を教えるのではなく、「この直前に何があった?」「ヒントは○行目にあるよ」と、探す範囲を少しずつ絞っていました。
それでも難しい場合は、該当する文章を一緒に読み、子ども自身に根拠となる言葉を見つけてもらいます。
答えそのものではなく、「どこを読めば考えられるか」を示すのがポイントです。まとめ:【小学生】物語文の教え方|つまずきを見抜く診断と5つの指導手順

記事の重要ポイント
物語文の指導は、感覚ではなく、つまずき箇所を診断し、手順に沿って確認していく作業です。
音読・場面把握・主観読み・根拠欠如・設問処理のどこでつまずいているかを見極め、音読→場面→人物→心情→設問の順で家庭で確認していく。
心情は直接聞かず、出来事と行動描写から考えさせる。
自分の感想と登場人物の心情は分けて扱う。
この3点が、家庭で実践できる軸になります。
心情語の丸暗記や解法パターンの先行指導では、表現が変わったときに対応できなくなります。
本文の記述を証拠として答えを探す習慣をつけることで、文章が変わっても安定して解答しやすくなっていきます。
迷ったときの判断基準と次の行動
途中でお子さんが解けなくなったときは、設問そのもので悩み続けるのをやめてください。
まず「直前に何が起きた?」と出来事の確認まで戻る。
それでも止まる場合は、音読の段階まで戻って、文節や句読点を意識して読めているかを確認する。
この2つが、迷ったときの立ち戻り先です。
すでに音読が流暢で、場面転換や人物関係を自力で把握できているお子さんなら、5手順を最初からなぞる必要はありません。
失点した設問の条件読み取りなど、必要な段階だけをスポットで確認していく形で十分です。
物語文は、答えを教えるだけではなく、「なぜそう考えたのか」を本文から探す練習が大切です。家庭だけで教えるのが難しい場合は、国語に特化した1対1指導を試してみる方法もあります。
執筆者プロフィール

※この記事は、英語・国語・社会の指導経験が豊富な桐生智花が執筆しています。学習塾で小学生・中学生の定期テスト対策や高校受験指導に携わった経験をもとに、現場で培った知見を記事に反映しています。
桐生智花は、学習塾で小学生・中学生に英語・国語・社会を指導してきました。定期テスト対策や高校受験指導の経験をもとに、暗記だけに頼らない「理解して伸ばす」学習法をわかりやすく解説しています。
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