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古文の勉強をしているのに、実力テストや過去問になると「何を言っている文章なのか分からない」と止まってしまう中3生は少なくありません。
主語に注目しているつもりでも、会話文や人物関係が崩れると、正答率はなかなか安定しません。
この記事では、学習塾で国語指導を担当してきた編集員が、高校入試の古文で必要な覚えること、主語のつかみ方、点につながる解き方を順番に整理します。
記事のポイント
- 古文特有の省略だらけの構造に合わせた読み方に変える
- 述語の直前で立ち止まり主語が誰なのかを確認する
- 歴史的仮名遣いや意味がズレる単語だけを優先して覚える
- 本文を読む前に注釈をすべて読み人物関係を書き出す
Contents
高校入試の古文勉強法:古文が読めない原因

古文が苦手な中3生には、次のような悩みがよく見られます。
- 何度読んでも意味がつながらない
- 主語が分からなくなる
- 時間をかけても半分しか取れない
この壁は、あなたの読み方の「ピントのズレ」が原因です。
古文特有の「省略だらけの構造」に、現代文と同じ読み方で挑んでいる限り、どれほど時間をかけても読解精度は上がりません。
主語を追えず意味がズレる
古文の文章では、主語が頻繁に省略されるのが最大の特徴です。
現代文と同じ感覚で「目の前の名詞+動詞」を結びつけて読もうとすると、途中で誰の話か分からなくなります。
塾で指導していると、登場人物が複数いる場面でこんな誤読が起きます。
| 正しい読み方 | 誤読のパターン |
|---|---|
| おじいさん → 声をかけた | おばあさん → 声をかけた |
動作の主体がすり替わっているのに、本人は全く気づいていません。
「主語に注意して」と言うだけでは足りません。
述語の直前で一度立ち止まり、「今これをしているのは誰か」を確認する動作をルーティンにすることが大切です。
会話文の整理で止まりやすい
古文の入試問題では、会話文に「 」(カギカッコ)がつかないことが多くあります。
「と」の直前が会話の終わりだと分かっても、どこから会話が始まっているかが分からず、読解が止まってしまいます。
以前、赤点ギリギリだった生徒が「『と』の前を意識しているのに、会話の意味が全然つかめない」と質問に来ました。
答案を見ると、地の文(説明文)まで会話の一部として読んでいました。会話の始まりを見つけるには、次の3点に着目するのが有効です。
- 感情表現が入る
- 呼びかけが入る
- 敬語のトーンが変わる
そこが会話の境界線になっていることがほとんどです。

現代文感覚では読めない理由
古文には、現代語と同じ見た目でも意味が全く違う語がたくさんあります。
「現代文感覚の罠」とも言える誤読パターンです。
以前、『宇治拾遺物語』の「児のそら寝」を授業で扱ったとき、「おどろかせたまえ」を「私を驚かせてください」と訳した生徒がいました。
住職が子供にお笑いのようなことをしているシーンだと読んでしまったのです。
文字の形が同じでも、古文の世界では意味が別物です。「現代語と意味がズレている語」を意識的に覚え直すことが、古文の読み方への切り替えにつながります。
高校入試古文で覚えること3つ

「結局、何を覚えればいいの?」という疑問に正面から答えます。
多くの高校入試では、必要な暗記はかなり絞れます。
毎年、大学受験用の分厚い単語帳を買い込み、量の多さに圧倒されてやる気を失う中3生がいます。
覚えるべき知識は、次の3点に集約されます。
- 歴史的仮名遣いは数パターンの頻出ルールに絞る
- 現代語と意味がズレている重要単語を優先する
- 文法や敬語知識を主語特定のためのツールに使う
仮名遣いは頻出だけで十分
歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに直す問題は、公立・私立問わず入試で非常によく出ます。
覚えるルールはわずか数パターンです。
| 優先度 | 変換ルール | 例 |
|---|---|---|
| ★★★ | は行(語中・語尾)→ わ行 | いふ → いう |
| ★★ | ゐ・ゑ → い・え | ゐたり → いたり |
| ★ | あう・えう → おう・よう | やうやう → ようよう |
高校範囲の複雑なルールまで覚える必要はありません。
入試に出る形だけを優先して押さえるのが正解です。
古文単語は意味違いを覚える
高校入試で優先して覚えるべきなのは、現代語とズレのある語です。
「知っているつもりで間違える」のが一番点数を落とす原因だからです。
| 古語 | 現代語での誤解 | 正しい意味 |
|---|---|---|
| おどろく | びっくりする | 目を覚ます |
| をかし | おかしい(変だ) | 趣がある・素晴らしい |
| ありがたし | ありがとう | めったにない |
| あはれなり | 哀れだ(かわいそう) | しみじみとした感動 |
こうした語を優先的に覚えることで、読み間違いが一気に減ります。
頻出の重要単語については、別途まとめた単語一覧もぜひ活用してください。
▶ 中学生向け|高校入試によく出る古文単語を現代語との違いで覚える
文法は主語特定に使う
古文の文法は、暗記して終わりにするのが最ももったいない使い方です。
例えば「係り結び」は、文末の形が変わることで作者が強調したい部分が分かります。
「なぜここに『こそ』という言葉が使われているのか」を考えると、作者が最も注目してほしい内容や主語がそこにあると気づけます。
文法知識を「主語を見つけるためのツール」として使う意識が大切です。

敬語で偉い人を見抜く
古文の敬語は、主語判別の強力な武器です。「給ふ(たまふ)」などの尊敬語が使われている場合、多くの場合、その動作の主体は身分の高い人物だと判断できます。
「帝(天皇)と家来しか出てこないのに、誰の動作か分からない」と困っていた生徒に、「動作の言葉の近くに『給ふ』があるかどうか、探してみて」と伝えました。
その瞬間、「これだけで訳さなくても誰がやったか分かる!」と声を上げました。
敬語の向きを意識するだけで、主語がすっと見えてくる感覚は、多くの生徒が実感します。
▶【文部科学省】中学校学習指導要領解説 国語編
高校入試古文の解き方と手順

ここが本記事の中心です。知識を頭に入れただけでは点は取れません。
試験本番で使える解き方の手順を整理します。まず、解き方の流れを確認しておきましょう。
| ステップ | やること |
|---|---|
| ① | 注釈を確認して人物関係を把握する |
| ② | 登場人物を鉛筆で囲む |
| ③ | 助詞を手がかりに主語を確認する |
| ④ | 感情語を見て主語を逆算する |
| ⑤ | 会話文を整理する |
この手順を体に染み込ませることで、初見の文章でも迷わず読み進められます。
注釈から人物関係を読む
入試問題の古文では、本文の前に「注釈」が書かれていることがほとんどです。
本文を読む前に注釈を確認するのが、正解への近道です。
注釈には「●●:帝の側近」「▲▲:お寺の小僧」のように、登場人物の名前・身分・関係性が書かれています。
多くの生徒は、分からない言葉が出てきたときだけ注釈を確認しようとします。
その都度視線を行き来させると、内容が頭に入りにくくなります。
本文を読む前に注釈をすべて読み、余白に簡単な人物関係を書き出すのが正しい使い方です。

登場人物を囲んで読み進める
本文を読み始めたら、登場人物の名前や「翁」「女」「帝」などの呼称が出てきたとき、鉛筆でその語を丸く囲む習慣をつけましょう。
例えば「この児、さだめておどろかさむずらむと待ちゐたるに」という文では、「児、」の読点が主語の切れ目のサインです。
「稚児が待っている」という主語が、視覚的に一目で分かります。
「人名+、(読点)」に着目するだけで、主語の取り違えが起きにくくなります。

主語変化は助詞で見抜く
古文で主語が切り替わるサインは、助詞に現れます。
特に注目すべきは次の2パターンです。
| 接続助詞 | 主語との関係 |
|---|---|
| て・つつ・ながら | 前後で主語が同じことが多い |
| を・に・が・ば | 前後で主語が変わることが多い |
入試では「主語の切り替え」を見抜けるだけで正答率が一気に上がります。
「Aが〜するに、Bが〜す」という構造では、「に」を境に主語が切り替わっているサインです。
このルールを使うだけで、主語を推測する精度が大きく上がります。
感情語から主語を逆算する
古文では「うれし」「悲し」「あはれなり」などの感情語が頻出します。
これらは感情を抱いている人物がいる、というサインです。
その感情語の主体を追うことで、主語を逆算できます。
例えば「うれしくて」という表現があれば、「今の場面で喜ぶのは誰か」を人物関係から考えることで主語が絞れます。
意味から主語を探す、この逆引きアプローチが特に難しい問題で力を発揮します。

会話文は得する人物を追う
会話文の主語が分からないとき、「このセリフで得をするのは誰か」という視点で考えてみてください。
お願い・命令・褒め言葉などは、誰かに向けて言われます。その受け手が誰かを考えると、話し手も見えてきます。
以前、会話文が全く読めなかった生徒が「得する人物を探す」という視点に切り替えた途端、「あ、これ分かった!」と声を上げた場面がありました。
読み方の角度を変えるだけで、急に文章がつながる瞬間があります。

全文訳しなくても点は取れる
「最初から最後まで完璧に訳せないと不安」という気持ちは理解できます。ただ、それが試験中の時間切れや思考停止につながっています。
全文を訳す必要はありません。
入試の古文で点を取るために必要なのは、次の3点を追いながら読むことです。
- 主語
- 会話
- 感情
この3点に絞って読むことで、設問に必要な情報を時間内に取り出せるようになります。
▶ 高校入試国語の小説文・論説文で長文読解の解き方を身につける
高校入試古文のコツと裏ワザ

知識と解き方の手順を身につけたら、次は実戦での精度を上げる段階です。
得点が伸びた生徒に共通するコツをまとめます。
- 初見の文章は役割を変えて3回読むと理解できる
- 設問と本文を往復するジグザグ読みで時短を図る
- 省略された助詞を書き加え、音読でリズムに慣れる
古文は3回読むと理解できる
初見の古文を1回で完全に理解しようとするのは、慣れないうちは難しいです。
3回に分けて読む方法が有効です。
| 回数 | 見るポイント |
|---|---|
| 1回目 | 登場人物を把握する |
| 2回目 | 主語を追いながら誰が何をしたかを整理する |
| 3回目 | 感情表現に着目して場面の流れを確認する |
3回目には「なるほど、こういう話だったのか」と全体像がつながる感覚が出てきます。
この読み順を繰り返すことで、初見の文章への対応力がついていきます。
ジグザグ読みで主語を追う
本文を頭から一気に読むだけでなく、設問と本文を往復しながら読む方法を「ジグザグ読み」と呼んでいます。
設問を先に確認して「何が聞かれているか」を把握した上で本文を読むと、注目すべき箇所がはっきり見えます。
この方法を練習した生徒が、模試の偏差値を48から58へ上げた例があります。
全文を均等に読む必要はありません。設問を地図として使いながら、必要な情報を取りに行く読み方が実戦では効果的です。

助詞を補うと読みやすくなる
古文では「は」「が」などの主語を示す助詞が省略されることが多いです。
読んでいて意味がつながらなくなったとき、省略されている「は」や「が」を書き加えながら読むと、文の構造が見えやすくなります。
例えば「翁、山へ行きけり」という文は、「翁は山へ行った」と補うだけで意味が一気に明確になります。
助詞を補う練習は、特に偏差値50前後の生徒が点数を伸ばすときに効果的なアプローチです。

音読すると初見に強くなる
音読は「気合いを入れるため」ではありません。古文を声に出して読むことには、次の効果があります。
- 文の切れ目が分かるようになる
- 主語が追いやすくなる
- 古文のリズムに慣れる
黙読だけで練習している生徒と比べて、処理速度と読解の精度に差が出るのは、このリズム感の蓄積によるものです。
高校受験古文の問題演習の進め方

知識と解き方の手順を押さえたら、実戦問題に取り組む流れを整えましょう。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 春〜夏 | 単語・仮名遣いを覚える |
| 夏休み | 主語を追う読み方を練習する |
| 秋以降 | 過去問演習に進む |
「いつ何をやればいいか」の見通しが持てると、焦りが減ります。
▶東京都教育委員会「都立高校の過去問」
夏休みまでに基礎を固める
夏休みが終わるまでに優先したいのは、単語・仮名遣い・主語を意識した読み方の3点です。
この3つを夏の間に土台として固めておけば、秋以降の実戦演習がスムーズになります。
「全部やらなきゃ」とは思わなくて大丈夫です。
入試によく出る単語、頻出の仮名遣い変換ルール、主語の追い方——この3点に絞ることが夏の最善策です。

秋から過去問演習へ進む
9月以降は、実際の入試問題や過去問に取り組み始めましょう。このとき大切なのは、志望校の出題形式と難易度に慣れることです。
都立高校のように現代文と古文が融合した形で出題されるケースや、難関私立高校で独自の記述問題が出るケースなど、学校によって形式はさまざまです。
問題の種類(現代語訳・内容理解・記述・選択肢)を把握しながら、「この学校はこういう問われ方をするのか」という感覚をつかんでいきましょう。

過去問はズレ分析が重要
過去問を解いたあと、答え合わせで終わりにするのはもったいないです。
大切なのは、「なぜその解釈をしたか」「どこでズレたか」を確認することです。
模範解答の現代語訳と自分の解釈を比べ、どの語・どの場面で意味がズレたかを書き出しましょう。
そのズレが「覚え直すべき単語」や「まだできていない主語の追い方」を教えてくれます。
高校受験古文の問題集の選び方

問題集選びに迷いすぎて時間を消費するのは、よくあるパターンです。
選び方のポイントを2点に絞ります。
- 主語の判断理由が丁寧に説明されている教材を選ぶ
- 複数の教材に手を広げず1冊を3周して仕上げる
解説が多い問題集を選ぶ
問題の数よりも、解説の質を重視してください。特に重要なのは、主語の判断理由が解説されているかどうかです。
「なぜこの文の主語がAなのか」を丁寧に説明している教材を選ぶことで、自分の読み方の正誤を確認しながら学べます。
現場でよく見る失敗例が、次のような問題集を選んでしまうパターンです。
- 解説が答えだけで理由が書かれていない
- 主語の説明がない
- 現代語訳しか載っていない
このタイプの問題集では、「答えが合っていた」「間違えた」で終わってしまい、読み方は改善されません。

問題集は1冊を繰り返す
「いろんな問題集をやったのに点が上がらない」という相談は毎年入ってきます。
多くの場合、1冊を完全に仕上げないまま次に移ることが原因です。
伸びた生徒に共通しているのは、1冊の問題集を2〜3周していることです。
2周目以降に「なぜこうなるのか」が見えてくる感覚があり、そこから読解力が定着します。
迷ったら1冊に絞って繰り返すことを優先してください。
中学生に人気のタブレット学習教材もおすすめです。
【Q&A】高校入試古文の勉強法に関するよくある質問

よく寄せられる疑問にまとめてお答えします。
Q.古文はどこまで覚えればいい?
高校入試古文は「全部暗記」する必要はありません。
多くの高校入試では、歴史的仮名遣い・重要単語・主語特定に使う接続助詞と基本的な敬語の3点が柱です。
大学受験で必要な複雑な助動詞活用や細かい識別は、高校入試では不要です。
「覚えきれない」と感じているなら、まず範囲を絞ることから始めましょう。

Q.入試だと急に解けない理由は?
定期テストは「一度読んだことのある本文」から出題されますが、入試は初見の文章です。
ワークの内容を丸ごと覚えているだけでは、初見の問題には通用しません。
「読み方の手順」を身につけているかどうかが、入試で差がつくポイントです。
本記事で紹介した主語の追い方・会話文の整理・感情語の活用を、初見の問題で繰り返し練習することが解決策です。

Q.古文に時間をかけすぎる時は?
都道府県や学校の出題形式によって異なりますが、古文に使う時間の目安は一般的に10〜12分程度です。
それ以上かかると、配点の大きい現代文や記述問題の時間が削られます。
志望校の過去問を解き、あらかじめ時間配分を決めておきましょう。
全文を完全に理解してから解くという発想を手放すことが、スピードアップの近道です。

Q.古文はセンスが必要ですか?
センスではなく、読み方の手順を知っているかどうかの差です。
古文が得意な生徒は、特別な才能があるわけではありません。主語の追い方、会話文の整理、感情語の活用という「読み方のルール」を使いこなしているだけです。
この記事で紹介した手順を練習すれば、今は苦手でも確実に読めるようになります。
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まとめ:高校入試の古文勉強法|読めない中3生が主語をつかんで点を取るコツ

古文が読めない原因は、才能でも努力量でもありません。
現代文とは異なる「省略だらけの構造」への対処法を知らなかっただけです。
まず注釈で人物関係を把握し、登場人物を丸で囲みながら読み進め、助詞を手がかりに主語の切り替えを見抜く。
この手順を繰り返すことで、初見の文章でも「誰が何をしたか」が追えるようになります。
たくさんの暗記よりも、読み方の手順を練習することが古文攻略の本質です。まずは次の古文問題で、「主語だけを追う読み方」を試してみてください。
執筆者プロフィール

※この記事は、学習塾で国語指導を長年担当してきた田中彩乃が担当しています。
小説文・論説文・古文・漢文・作文対策まで幅広く指導し、読解力を伸ばす実践的な学習法を発信しています。
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