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過去問を解いても、なぜか点数が伸びない。読解なのか作文なのか、時間配分なのか、どこから手をつければいいのか分からない。
そんな状態から抜け出すために、私が指導現場で実際に使ってきた「ミスの質」を軸にした対策方法をお伝えします。
記事のポイント
- ミスの質を分けて過去問を見直せる
- 自分に合った解く順番と時間が分かる
- 漢字や作文を効率よく得点源にできる
- 大問5の複数資料を読み解くコツがつかめる
都立入試国語は50分で大問5題|出題傾向・配点・平均点

都立国語は50分で大問1から5までを解く試験です。
最初に、大問ごとの出題内容と配点だけ確認しておきましょう。
対策の優先順位を考える土台になります。
| 大問 | 出題内容 | 配点 |
|---|---|---|
| 大問1 | 漢字の読み | 10点 |
| 大問2 | 漢字の書き | 10点 |
| 大問3 | 文学的文章の読解 | 25点 |
| 大問4 | 説明的文章+200字作文 | 30点(作文10点) |
| 大問5 | 古典を含む複数資料読解 | 25点 |
配点を見ると、大問4と大問5だけで55点を占めます。
時間配分を考えるときは、この2つをどう扱うかが鍵になります。▶東京都教育委員会「令和8年度都立高等学校入学者選抜 学力検査問題及び正答表」
大問1・2は漢字の読み書き
大問1は漢字の読み5問で10点、大問2は漢字の書き5問で10点です。
合わせて100点中20点を占めます。
指導していた生徒には、読解に時間を取られて漢字の見直しができず、ケアレスミスをそのまま提出してしまうケースがありました。
「簡単だから後回し」という発想が、逆に失点を招くこともあります。
漢字は出題範囲がある程度決まっているため、対策の優先順位をつけやすい分野です。
過去問演習の中で、まずここに抜けがないか確認する時間を取ってください。

大問3は文学的文章の読解
大問3は小説など文学的文章の読解で、5問25点です。
目標時間の目安は12〜15分程度です。
東京都教育委員会は、「登場人物の心情変化や言動、描写を本文の叙述に即して理解する能力を見る」としています。
過去問を一緒に見直すと、「なんとなく悲しそうだから」で選んでいる生徒がよくいます。
本文のどの一文が心情の根拠になっているかを、指で押さえられる状態にしてから選択肢を見る習慣をつけさせています。
感覚で解いて当たった問題は、本番で同じように当たる保証がありません。

大問4は説明的文章と200字作文
大問4は説明的文章の読解4問(20点)と、200字作文(10点)で構成されており、合計30点です。
目標時間の目安は15〜18分程度です。
作文は全体の1割を占める配点です。
白紙で提出してしまうと、この10点をまるごと失うことになります。
令和8年度は「対話による創造」というテーマで、具体的な体験や見聞を含めて200字以内で書く問題が出題されました。
東京都教育委員会は、「文章の構成・要旨の読み取りに加え、自分の意見を論理的に表現する力」を見るとしています。
読解に時間を使いすぎて作文に着手できない、という相談を何度も受けてきました
。読解と作文は別のタスクとして時間配分を考える必要があります。

大問5は古典を含む複数資料読解
大問5は古典を含む複数資料の読解で、5問25点、目標時間の目安は10〜12分です。
令和8年度の実問題では、雅楽についての対談、世阿弥についての文章、『風姿花伝』の原文と現代語訳が組み合わされていました。
東京都教育委員会も、「対話文を含め古典を引用した複数の資料を読み解く力」を出題意図として示しています。
大問5を「古文を訳せるかどうかの問題」と思い込んでいる生徒は少なくありません。
実際には、資料同士の対応関係だけでなく、対談での発言の意図や役割、言葉の使い方などを整理しながら読む力が問われています。

都立入試国語の平均点と難易度
過去の平均点は、令和8年度が74.9点、令和7年度が75.0点、令和6年度が75.9点、令和5年度が80.8点、令和4年度が68.8点でした。
| 年度 | 平均点 |
|---|---|
| 令和8年度 | 74.9点 |
| 令和7年度 | 75.0点 |
| 令和6年度 | 75.9点 |
| 令和5年度 | 80.8点 |
| 令和4年度 | 68.8点 |
年度によって5点以上の差があります。
単年度の数値だけで「今年は簡単だった」「難しかった」と判断せず、複数年度の流れで見るようにしてください。
平均点はあくまで受験者全体の数値です。
自分の得点をそのまま合否判断に使う数字ではない、という点は保護者の方によくお伝えしています。
都立入試国語で点数が伸びない6つの原因

過去問を解いても点数が安定しない場合、原因は一つではありません。
ここでは6つの失点パターンを診断形式で整理します。
過去問を1年分手元に置き、当てはまる項目を確認してください。
- 漢字・語句など知識不足で失点する
- 本文の根拠を見ず雰囲気で選ぶ
- 二択で迷い選択肢を比較できない
- 読解力ではなく時間管理で失点する
- 200字作文の構成で手が止まる
- 大問5の複数資料を整理できない
漢字・語句など知識不足で失点する
漢字や語句の意味が分からず、そのまま失点しているケースです。
読解対策以前に、まず補正すべき「知識の欠落」にあたります。
大問1・2で毎回同じような漢字を落とす生徒には、読解演習を増やす前に知識問題の演習量を増やすよう調整することがあります。
読解力の問題だと思い込んでいても、実は漢字と語彙の抜けが原因だった、というケースを何度も見てきました。

本文の根拠を見ず雰囲気で選ぶ
選択肢を選ぶ際、本文の叙述ではなく「なんとなく正しそう」という印象で判断してしまうパターンです。
「その選択肢が正しい理由を、本文の何行目のどの言葉で説明できる?」と聞いて、答えられない生徒には、雰囲気で選んでいる可能性が高いと考えます。
正答の根拠を本文の該当箇所で示せない状態は、たまたま当たっただけで、次に同じ問題が出ても再現できません。

二択で迷い選択肢を比較できない
選択肢を2つまで絞り込んだ後、最後に誤った方を選んでしまうパターンです。
二択まで絞れているのに毎回最後で外す生徒には、「正しそうな共通点」に目を奪われ、「本文と矛盾する1単語の不一致」を見逃している傾向がありました。
二択の段階まで来たら、共通点ではなく相違点に注目することが、選択肢比較の分かれ目になります。

読解力ではなく時間管理で失点する
最後まで解き切れない原因が、読む速さそのものではなく、迷った問題での長考や配分ミスにあるケースです。
過去問演習を見ていると、読む速さそのものではなく、記号問題で長く迷ったり、作文の構想に時間を使いすぎたりして、最後まで解き切れない生徒もいました。
読解速度を疑う前に、「どの設問で立ち止まっているか」を確認する必要があります。

200字作文の構成で手が止まる
作文で手が止まる原因は、アイデアが出ないケースと、200字の構成・段落分けで悩むケースの2種類に分かれます。
下書きの構成メモを作らずにいきなり清書へ入ろうとする生徒ほど、途中で文章の整合性が崩れて手が止まる傾向があります。
「書けない」と「時間内に完成できない」は別の問題です。
この2つを混同すると、対策の方向を間違えてしまいます。

大問5の複数資料を整理できない
大問5での失点は、古文の知識不足ではなく、対話文・現代文解説・古典原文・訳文の情報連携を見失っていることが原因のケースが多くあります。
資料Aの発言が資料Bのどこに対応しているか、という情報の紐付けができていないために失点している生徒を、何度も見てきました。
古文単語の暗記だけを増やしても、この失点タイプは改善しません。
都立入試国語の大問別対策|得点につなげる読み方

診断した原因を踏まえ、ここからは大問別の具体的な読み方を説明します。
漢字は読み書きの基礎を固める
大問1・2の20点分は、過去問と同等レベルの漢字演習を継続することで、対策範囲を把握しやすい分野です。
難解な読解問題の演習量を増やす前に、配点20点分の漢字・語彙を暗記演習で確認するよう優先順位をつけることがあります。
同音異義語や同訓異義語など、間違えやすい漢字は過去問演習の中で繰り返し出会います。
一度間違えた漢字はその場で書き直し、次の演習で再確認する、という反復を続けてください。

大問3は心情を本文の叙述から判断する
大問3の文学的文章では、登場人物の気持ちを「なんとなく」で判断せず、本文中の叙述を根拠に読み取ることが大切です。
特に、次の3つを確認してください。
- 心情が変化するきっかけになった出来事
- 登場人物の言動や身体的な反応
- 心情を間接的に表している情景や周囲の描写
過去問を見直すときは、まず傍線部の前後を読み、心情の根拠になる言葉や描写を探します。
指導していた生徒には、根拠となる箇所に線を引いてから選択肢と照らし合わせるようにしていました。
「悲しい」「不安だ」と直接書かれていなくても、登場人物の表情や行動、会話の変化などから心情を判断できることがあります。
重要なのは、自分がそう感じたからではなく、本文のどの表現からそう判断したのかを説明できることです。
選択肢を先に見てしまうと、その言葉に引っ張られて本文を都合よく解釈することがあります。
「本文から根拠を探す→根拠を固定する→選択肢と照合する」という順番を意識してください。
正解した問題でも根拠を説明できなければ、過去問の復習ではもう一度確認する必要があります。

大問4は文章構造と筆者の主張を追う
大問4の説明的文章では、一文ずつ内容を追うだけではなく、文章全体の構造をつかみながら筆者の主張を見つけることが大切です。
特に、次の4つを意識して読んでください。
- 序論・本論・結論がどのように展開しているか
- 対比されている考え方や事柄は何か
- 「しかし」「つまり」などの接続語の後に何が書かれているか
- 具体例と筆者の主張を区別できているか
本文中に具体的なエピソードが長く書かれていても、そのエピソード自体が筆者の最も伝えたいこととは限りません。
「なぜこの具体例を出したのか」「この具体例から何を伝えようとしているのか」まで考えることが重要です。
「つまり」「このように」「〜と考える」など、内容をまとめたり結論を示したりする表現にも注目します。
指示語が出てきた場合は、「これ」「それ」が本文中の何を指しているのかを確認しながら読み進めてください。
指導していた生徒の中には、本文の内容を十分に理解しないまま、接続語などのテクニックだけで選択肢を絞ろうとするケースもありました。
そのような場合は、具体例と筆者の主張を色分けして、両者の関係を整理する練習から始めさせています。
大問4では、接続語などのテクニックだけで答えを探すのではなく、「文章の構造をつかむ→具体例と主張を分ける→本文の根拠と選択肢を照合する」という順番を意識してください。

200字作文は3つのパーツに分けて練習する
作文が苦手な生徒には、いきなり200字を完成させようとせず、主張、理由・体験、まとめの3つのパーツに分けて練習させています。
一例として、主張を約40字、理由・体験を約120字、まとめを約40字という組み立て方があります。
これは指導で使っていた目安であり、毎回この字数を厳密に守らせていたわけではありません。
| パーツ | 内容 | 字数の目安 |
|---|---|---|
| 主張 | 筆者の意見への理解+自分の考え | 約40字 |
| 理由・体験 | 具体的な体験や見聞 | 約120字 |
| まとめ | 意見の締めくくり | 約40字 |
苦手な生徒には、まず「理由・体験」のパートだけを100〜120字で書く練習から始めさせることが多いです。
ここが埋まらないと、200字全体が組み立てられないためです。
大問5は複数資料の関係を整理する
大問5では、古典の知識だけではなく、対話文や解説文、古典など複数の資料を関連付けながら読み取ることが大切です。
特に、次の4つを確認しながら読み進めてください。
- 対話文では誰がどのような意見を述べているか
- それぞれの発言にはどのような意図や役割があるか
- 対話文や解説文と古典の内容がどのようにつながっているか
- 古典原文と現代語訳のどこが対応しているか
令和8年度の問題では、雅楽についての対談、世阿弥についての文章、『風姿花伝』の原文と現代語訳など、複数の資料が組み合わされていました。
そのため、一つひとつの資料を別々に理解するだけでなく、「この発言は別の資料のどの内容とつながっているのか」という視点で整理する必要があります。
指導では、資料を単体で読ませるのではなく、対話文の発言と関連する資料の箇所を線で結んだり、余白に短くメモしたりして、対応関係を整理させることがあります。
大問5で失点したときに、「古文が苦手だから」と考えて古文単語の暗記だけを増やしても、資料同士の関係を整理できていなければ同じところでつまずく可能性があります。
過去問を復習するときは、「それぞれの資料を読む→共通する内容や対応箇所を探す→資料同士の関係を整理する」という順番を意識してください。
都立入試国語で時間切れを防ぐ50分の使い方と解く順番

時間切れは多くの受験生が抱える悩みです。
万人共通の正解ではなく、自分に合った時間配分を見つける手順を説明します。
まず過去問で時間が崩れる大問を特定する
一律の時間配分をそのまま真似る前に、自分がどの大問で時間を超過しているかを、過去問演習の中で計測することから始めます。
大問ごとにストップウォッチで時間を計測させ、どこで時間を使いすぎているかを可視化させることがあります。
感覚で「時間が足りない」と思っていても、実際に計測すると特定の大問だけで大幅に時間を使っていた、というケースがよくあります。

大問ごとに時間の上限を決めて解く
時間が崩れる大問が分かったら、大問ごとに上限時間を決めて解く練習に移ります。
目標時間の目安としては、大問1・2で合わせて4〜6分程度、大問3で12〜15分、大問4で15〜18分(作文を含む)、大問5で10〜12分、残りを見直しに充てる、といった配分が一つの例です。
上限時間を超えたら、未解答があっても次の大問へ進むというルールを徹底させることがあります。
この時間配分を全員に当てはめるのではなく、過去問演習を重ねながら本人の崩れ方に合わせて調整してください。

作文を書く時間を残せる配分にする
作文は配点10点を持つ大問です。
試験終盤に焦って白紙のまま提出してしまうと、この10点をまるごと失うことになります。
白紙では得点につながらないため、まずは作文に着手し、最後まで書き切るための時間を確保しておく必要があります。
執筆時間の目安として「約5分前後」を一つの目標にしつつ、過去問演習の中で自分に合った時間配分を調整していくことをおすすめしています。

解く順番は「得意・時間超過・作文確保」で決める
大問1から順番通りに解く以外にも、解答順序を工夫する余地があります。
次の3つの視点から解く順番を決めるようアドバイスしています。
- 確実に解ける得意な大問はどこか
- 時間がかかりやすい大問はどこか
- 作文の時間を確保できる順番になっているか
解く順番に万人共通の絶対解はありません。
過去問演習を通じて自分がどこで崩れるかを確認し、個別の解答順序を確立することをおすすめします。

設問先読みは必要に応じて使う
本文を読む前に設問や選択肢を先に確認する「先読み」というテクニックがあります。
このテクニックを全受験生に勧めているわけではありません。本文の探索箇所を絞り込める場合にだけ、選択肢の一つとして使わせています。
先読みが合わない生徒に無理に使わせると、かえって混乱して時間を失うこともあります。
過去問演習の中で自分に合うかどうかを試してみてください。
都立入試国語の過去問は「ミスの質」で復習する

ここからが、この記事で一番お伝えしたい内容です。
過去問は解いて採点するだけでは、次の得点につながりません。
東京都教育委員会で問題・正答を確認する
過去問に取り組む際は、まず東京都教育委員会が公表している入試問題、正答表、「(参考)採点のポイント」を確認してください。
市販の解説集だけに頼らず、公式に公表されている正答表や採点のポイントを自分の目で確かめることを、生徒にすすめています。
正解の定義を自分で確認する習慣があると、市販教材との解釈のズレに気づきやすくなります。

採点後に失点した大問と原因を記録する
過去問を解いたら、「70点だった」で終わらせず、大問・設問・失点理由まで記録することが重要です。
「大問3の問2で二択ミス」「大問4問5で時間不足」というように、失点内訳を一つずつ書き出させることがあります。
点数だけを見ていると、同じ原因で毎回失点していることに気づけません。
記録を続けることで、自分の失点パターンが見えてきます。

正解でも本文の根拠を説明できるか確認する
正解した問題であっても、勘や消去法でたまたま正解したものは、復習の対象から外してはいけません。
「本文の第何段落のこの叙述が根拠」と、他人に説明できる状態になっているかどうか。
ここを必ず確認しています。
説明できない場合は、本番で同じような問題が出たときに、同じように正解できる保証がありません。
正解・不正解にかかわらず、根拠を言語化する習慣をつけてください。

ミスを5種類に分けて次の勉強を決める
すべての失点を「読解力が足りない」とひとまとめにせず、5つの質に分類することで、次に取り組む学習を1つに絞ることができます。
| 失点タイプ | よくある症状 | 主な原因 | 優先する対策 |
|---|---|---|---|
| 知識不足 | 漢字や語句の意味で正解できない | 常用漢字・語彙の学習不足 | 頻出漢字・知識問題の演習 |
| 根拠見落とし | 選択肢を印象で選んで誤答する | 本文の叙述を確認していない | 選択肢選定前に根拠行をマーキング |
| 判断ミス | 二択まで絞った後に誤った方を選ぶ | 選択肢内の言い換え・ズレを見抜けない | 2つの選択肢と本文の矛盾箇所を言語化 |
| 時間不足 | 大問4作文や大問5まで解き切れない | 長考、配分計画の不備 | 大問ごとの上限時間設定、作文時間の確保 |
| 作文構成不備 | 200字作文で手が止まる、大幅減点される | 構成未定のまま執筆 | 主張・体験・まとめの3パーツ練習 |
大問5で資料同士の関係を整理できなかった場合は、「根拠見落とし」や「判断ミス」のどちらに近いかまで確認します。
この5分類を基本に、どこで失点したのかを過去問1年分ごとに振り返ると、次に取り組む勉強を決めやすくなります。
200字作文も毎回同じ観点で自己点検する
作文は感覚的な採点になりがちですが、毎回同じ観点で自己点検することで、改善点が明確になります。
- 設問で求められた内容を満たしたか
- 具体的な体験・見聞を入れたか
- 200字以内か
- 表記・原稿用紙上のミスがないか
- 東京都教育委員会「(参考)採点のポイント」を確認したか
令和8年度は、東京都教育委員会が「(参考)採点のポイント」を公開しています。
まず公式の採点ポイントを確認し、そのうえで上の項目も使って自分の答案を振り返ってください。

過去問は「次に何を直すか」を決めて終える
過去問演習のゴールは、解いて採点することではありません。
「次回演習までに修正する1つの行動」を決めて初めて、その回の過去問演習が終わる。生徒にはいつもこう伝えています。
点数に一喜一憂するのではなく、なぜ間違えたのかを確認し、次に直すべき弱点行動を1つ決める。
ここまでを過去問演習のセットとして扱ってください。
過去問の復習方法が決まったら、次は演習の開始時期と進め方も確認しておきましょう。都立高校入試の過去問をいつから始めるかは、現在の基礎力によって判断が変わります。
失点原因別に都立入試国語の勉強法を決める

都立入試国語で点数を伸ばすには、すべての分野を同じように勉強するのではなく、過去問で見つかった失点原因に合わせて対策を変えることが大切です。
ここまでの診断結果をもとに、自分がどのタイプに当てはまるかを確認し、次に取り組む勉強を決めてください。
漢字で落とすなら知識問題を優先する
大問1・2の漢字で繰り返し失点している場合は、読解問題の演習量を増やす前に、漢字や語彙などの知識問題を優先して見直します。
特に、次のような状態になっていないか確認してください。
- 同じ漢字を繰り返し間違えている
- 読みは分かるのに正しく書けない
- 同音異義語や同訓異義語で迷う
- 文章中の語句の意味が分からず読解にも影響している
過去問で間違えた漢字は、その場で正解を確認するだけではなく、「間違えた漢字リスト」に残しておきます。
数日後にもう一度書き、正しく答えられるか確認すると、覚えたつもりの漢字を見つけやすくなります。
漢字での失点が続いている場合は、難しい読解問題ばかりに時間を使わず、「過去問で間違える→記録する→覚え直す→もう一度確認する」という反復を優先してください。

二択で迷うなら本文根拠を言葉にする
選択肢を二つまで絞れるのに最後の判断で間違える場合は、読解力そのものよりも、本文と選択肢を正確に比較できていない可能性があります。
二択になったときは、次の点を確認してください。
- 二つの選択肢で異なっている言葉はどこか
- それぞれの選択肢に対応する本文の根拠はどこか
- 本文には書かれていない内容が加えられていないか
- 本文の内容と意味がずれている言葉はないか
「どちらも正しそう」と感じたときは、選択肢全体の印象で判断するのではなく、二つの選択肢で異なる部分に線を引きます。そのうえで、本文の該当箇所と一つずつ照合してください。
過去問の復習でも、単に正解番号を覚えるのではなく、「この言葉が本文の記述と矛盾するから、この選択肢は消せる」と説明する練習を繰り返します。
二択で迷うタイプは、正解を探すだけでなく、不正解の選択肢がなぜ違うのかまで言葉にすることを意識してください。

時間切れなら読む速さより配分を見直す
50分以内に最後まで解き切れないと、「もっと速く文章を読まなければ」と考えがちです。
実際には読む速さではなく、特定の大問や設問に時間を使いすぎているケースもあります。
まず過去問を使って、次の点を記録してください。
- 大問ごとに何分かかったか
- どの設問で長く迷ったか
- 作文を始めた時点で何分残っていたか
- 見直しの時間を確保できたか
二択で迷った問題に数分使っていることが分かったら、「一定時間考えて決められなければ印を付けて次へ進む」といったルールを決めます。
指導でも、大問ごとの上限時間を設定し、時間を超えたら一度次へ進む練習をさせることがあります。
時間切れが続く場合は、速読だけで解決しようとせず、「どこで時間を失っているかを計測する→上限時間を決める→過去問でもう一度試す」という順番で配分を調整してください。

過去問だけでなく模試でも時間配分や失点傾向を確認できます。V模擬を受けている場合は、点数や判定だけを見るのではなく、V模擬の結果を次の勉強に生かす方法も押さえておくと、国語の弱点をより客観的に確認できます。
作文で止まるなら部分練習から始める
200字作文で手が止まる場合は、毎回200字の完成答案を書くことだけが練習ではありません。
まず、作文のどの部分で書けなくなっているのかを確認することが大切です。
次のように分けて考えます。
- 自分の主張が決まらない
- 理由を説明できない
- 具体的な体験や見聞が思いつかない
- 最後のまとめ方が分からない
- 内容は決まっているが時間内に書き切れない
特に、具体的な体験や見聞が思いつかず手が止まる場合は、最初から200字を書こうとせず、苦手な部分だけを100〜120字程度で書く練習から始める方法があります。
指導では、主張・理由や体験・まとめの3つに分け、書けないパーツだけを取り出して練習させることがあります。
「作文が苦手」でまとめるのではなく、「どのパーツで止まっているのか」を特定してから練習することがポイントです。

大問5で迷うなら資料の対応関係を確認する
大問5で失点が多い場合は、すぐに「古文の知識が足りない」と判断せず、複数の資料を正しく関連付けられているかを確認してください。
過去問を復習するときは、次の点をチェックします。
- 対話文では誰が何について話しているか
- 発言の内容が別の資料のどこにつながっているか
- 古典原文と現代語訳のどこが対応しているか
- 複数の資料に共通している内容は何か
対話文のある発言について問われた場合、その発言だけを見るのではなく、関連する別の資料の箇所を探し、線で結んで対応関係を確認します。
指導でも、複数の資料を別々に読ませるのではなく、関連する箇所を線で結んだり、余白に短いメモを書いたりして整理させることがあります。
大問5で間違えたときは、「古文が分からなかった」で終わらせず、「どの資料とどの資料のつながりを見失ったのか」まで確認することが、次の過去問演習につながります。
過去問を分析しても、「本文の根拠がうまく見つけられない」「作文や読解を一人で直すのが難しい」という場合は、国語専門の個別指導を利用する方法もあります。
「ヨミサマ。」は、国語の読解や記述を専門に学べるオンライン個別指導サービスです。
都立入試国語でやりがちな5つの失敗

都立入試の国語では、知識や読解力そのものよりも、過去問の使い方や本番での進め方が原因で失点しているケースもあります。
指導現場で実際に見てきた中でも、特に多かったのが次の5つです。
自分の過去問演習に当てはまるものがないか確認してみてください。
正解した問題を復習しない
過去問を採点したとき、間違えた問題だけを見直して、正解した問題はそのままにしていないでしょうか。
国語では、本文を正確に読めていなくても、消去法や勘でたまたま正解することがあります。
これを「理解できていた」と判断すると、同じタイプの問題が出たときに再現できません。
実際の指導でも、正解した生徒に「本文のどこを根拠に選んだの?」と聞くと、説明できないことがありました。
正解した問題でも、少なくとも次の2点は確認してください。
- 本文のどこが正解の根拠だったか
- 他の選択肢は、本文のどこが間違っていたか
正解したかどうかではなく、根拠を説明できるかまで確認することが過去問復習では重要です。

解説を読むだけで復習を終える
間違えた問題の解説を読んで、「なるほど、そういうことか」と理解しただけで復習を終えるのも、よくある失敗です。
解説を読めば答えが分かるのは当然です。
本番では解説を見ながら解くことはできません。
指導では、解説を読んだ後にいったん閉じてもらい、もう一度本文から根拠となる部分を探させることがありました。
「この選択肢が違う理由はどこか」「正解の根拠になった一文はどこか」
を自分で説明できるか確認します。
「解説を読めば分かる状態」と「自力でもう一度解ける状態」は別です。
過去問の復習は、解説を読んだところではなく、自分で根拠を再現できたところまで行ってください。

最初から最後まで同じペースで解き続ける
50分間を同じペースで解こうとすると、後半の作文や大問5に十分な時間を残せないことがあります。
実際には、大問によって問題量も処理に必要な時間も異なります。
漢字と説明的文章、200字作文を同じ感覚で進める必要はありません。
時間切れになる生徒の過去問を確認すると、文章を読む速度そのものより、二択で長く迷ったり、一つの問題に何分も使ったりしていることがあります。
過去問を解くときは、
- どの大問に何分かかったか
- 予定より時間を使った問題はどこか
- 作文に何分残せたか
を記録してみてください。
そのうえで、大問ごとに「ここまでで次へ進む」という上限時間を決めます。
50分を均等に使うのではなく、自分が時間を失いやすい場所を把握して配分を調整することが大切です。

作文を毎回いきなり200字書く
作文問題を見ると、すぐに原稿用紙へ書き始める生徒もいます。
何を書くか決めないまま清書を始めると、途中で内容がずれたり、字数が足りなくなったりして書き直しが発生しやすくなります。
作文が苦手な生徒には、最初から200字を完成させるのではなく、
- 自分の主張
- 理由や具体的な体験
- 最後のまとめ
を短いメモにしてから書き始めるよう指導していました。
特に「具体的な体験が思いつかない」という生徒には、200字全部ではなく、まず体験部分だけを書く練習をさせることもあります。
作文が書けないときは、200字を書く練習量だけを増やすのではなく、どのパーツで止まっているのかを確認することが先です。
構成を決めてから清書する習慣をつけると、途中で手が止まる原因も見つけやすくなります。

大問5を古文だけの問題だと考える
大問5を「古文の単語や文法を覚えれば解ける問題」と考えてしまうのも注意が必要です。
令和8年度の大問5では、対談、世阿弥についての文章、『風姿花伝』の原文と現代語訳など、複数の資料を関連付けながら読む構成になっていました。
そのため、古典の知識だけでなく、
- 誰が何について話しているのか
- 対談の内容が別の資料のどこにつながるのか
- 古典原文と現代語訳がどう対応しているのか
を整理しながら読む必要があります。
大問5で点が取れないときに、古文単語だけを増やしても、資料同士の関係を整理できないという失点原因は残ります。
過去問を復習するときは、「古文が分からなかった」の一言で終わらせず、どの資料とどの資料のつながりを見失ったのかまで確認するようにしてください。
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【Q&A】都立入試国語でよくある質問

都立入試の国語に関して、過去問は何年分解くべきか、いつから始めるべきか、平均点より低い場合の総合的な考え方や直前期の対策など、受検生や保護者から多く寄せられる疑問にお答えします。
Q.過去問は何年分取り組めばよいですか?
目安として5〜10年分に取り組む受験生が多い印象です。
年数という「こなした量」よりも、1年分ごとにミス原因を特定し、克服できたかどうかという「振り返りの質」のほうが重要だと考えています。
年数を消化することが目的にならないよう、注意してください。

Q.過去問はいつから始めればよいですか?
基礎的な語彙が身についてくる秋口(10〜11月頃)から本格化させ、遅くとも12月には着手する、という進め方が一つの目安です。
一律の開始月にこだわりすぎず、漢字・語彙の基礎固めの進み具合を見ながら、段階的に過去問演習へ移行していくことをおすすめします。

国語の直前対策だけでなく、残り期間で5教科全体の優先順位も見直したい場合は、都立高校入試の教科別勉強法と全体の対策を確認し、国語にどれだけ学習時間を配分するか決めてください。
Q.平均点より低いと志望校合格は厳しいですか?
国語の平均点だけでは合否は判断できません。
例えば、学力検査5教科で学力検査と調査書点を7:3で扱う場合は、学力検査700点・調査書点300点に換算されます。
合否は国語1教科ではなく、志望校の選抜方法に沿って総合的に判断されます。
保護者の方によくお伝えしているのは、国語の平均点を下回ったからといって、それだけで悲観する必要はない、ということです。
5教科合計点と調査書点との総合バランスで見ていく視点を持ってください。

Q.国語は直前期でも対策できますか?
直前期でも即効性のある対策と、時間をかけて育てるべき対策は分けて考える必要があります。
漢字・語彙の知識補強(配点20点分)、作文の構成パターン化(配点10点分)、大問別の時間上限ルールの設定、この3点は直前期でも見直しやすい部分です。
初見の文章を正確に読み取る読解力そのものは、直前期だけで大きく変えるのが難しい領域です。
この2つを混同せず、直前期には見直しやすい部分から着手することをおすすめします。
国語の得点だけで合否を判断するのではなく、学力検査と調査書点を合わせて考える必要があります。自分の調査書点を確認したい場合は、都立入試の内申点を300点に換算する計算方法も確認しておくと、現在の位置を把握しやすくなります。
まとめ|都立入試国語は失点原因に合わせて対策を変えよう

都立入試国語対策で押さえたい3つのポイント
ここまでお伝えしてきた内容を、3つに絞って振り返ります。
- 大問構成と配点、それぞれの大問が見ている力を正確に把握すること
- 過去問演習を通じて、失点を知識・根拠・判断・時間・作文の5タイプに分類すること
- 分類した原因に応じて、時間配分や勉強法を個別に調整すること
都立国語の対策は、この3ステップに集約されると考えています。
基礎固めと知識定着を加速させる次のステップ
都立高校入試では理科だけでなく、英語・数学・国語・社会も教科ごとに出題傾向や対策が異なります。
5教科全体の得点力を高めたい方は、各教科の対策記事もあわせて確認してみてください。
執筆者プロフィール

※この記事は、英語・国語・社会の指導経験が豊富な桐生智花が執筆しています。学習塾で小学生・中学生の定期テスト対策や高校受験指導に携わった経験をもとに、現場で培った知見を記事に反映しています。
桐生智花は、学習塾で小学生・中学生に英語・国語・社会を指導してきました。定期テスト対策や高校受験指導の経験をもとに、暗記だけに頼らない「理解して伸ばす」学習法をわかりやすく解説しています。
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