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一問一答や知識問題は解けるのに、都立理科の過去問になると実験・図表問題で手が止まる。そんな様子を見ると、このまま演習を続けてよいのか不安になります。
都立理科で点を伸ばすには、暗記量を増やすだけでなく、実験の目的を読み取り、大問ごとの出題パターンに慣れることが重要です。
この記事では、都立理科の入試傾向、よく出る問題、大問1で見る教科書戻りの判断基準、過去問の縦割り演習法を解説します。
記事のポイント
- 過去問の失点を防ぐ問題文の正しい読み方
- 基礎に戻るタイミングが分かる明確な正答率の基準
- 都立理科の出題パターンに合わせた効果的な演習法
- 初見の実験問題や難化にも焦らないための解法の型
Contents
都立高校入試【理科】の出題傾向とパニックを防ぐ対策ポイント

暗記型の問題はできるのに、過去問の実験問題になると急に手が止まってしまう。
まずはその原因と、最新の出題傾向から見ていきましょう。
- 令和8年度は平均点が大幅上昇
- 記述問題は条件と結果を対比する
- 模範解答の書き写しが恐怖心を減らす
最新の過去問データから紐解く平均点と難易度の推移
都立理科は、5教科の中でも年度による難易度の上下動が特に激しい科目です。
東京都教育委員会が公表した「令和8年東京都立高等学校入学者選抜学力検査結果に関する調査」によると、令和8年度の受検者平均点は66.7点で、令和7年度の59.2点から7.5ポイント上昇したと報告されています。
あわせて5教科合計の平均点は323.1点、理科で80点以上を取った受検者の割合は前年度の23.0%から36.5%へ大きく伸びたとされています(最新の資料と併せてご確認ください)。
近年の推移と学習上の注意点を整理すると、次のようになります。
| 入試年度(元号) | 理科平均点 | 5教科合計平均点 | 80点以上の割合 | 得点分布のボリュームゾーンと学習上の注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 2026年度(令和8年) | 66.7点 | 323.1点 | 36.5% | 84〜87点:易化傾向とされ、些細な読み落としが合否の判定を分ける |
| 2025年度(令和7年) | 59.2点 | 318.2点 | 23.0% | 76〜79点:標準的。記述問題の完成度で差がつく |
| 2024年度(令和6年) | 66.8点 | 326.8点 | 35.0%以上 | 80〜84点:極めて平易とされ、高得点帯でのケアレスミスが致命傷に |
難易度が下がった年度ほど、パニックによる数問の読み落としが、合否を分ける決定打になるという傾向があります。どの難易度で来ても崩れない土台づくりが欠かせません。
▶文部科学省:学習指導要領
一問一答は解けるのに過去問で失点する「実験目的」の読み落とし
一問一答はスラスラ解けるのに、過去問の大問3以降になると点数が急落する――これは指導現場でも非常によく見る失敗パターンです。
原因は暗記量の不足ではありません。
問題文に書かれた「実験の目的」や「対照実験の意味」を、頭の中でつなげられていないことにあります。
初見の図表や長い問題文を前にすると、情報を整理できないままあてずっぽうで答えを選び、失点を重ねてしまうのです。
指導現場では、こうした受験生にこう声をかけています。
「問題文の1行目に『〜を調べるために』と書いてあるよね。まずはそこに線を引いて、実験のゴールをはっきりさせてから表を見てごらん」
例えば蒸散の実験なら、「葉の表と裏のどちらから多く水が蒸散するか」という目的を先に意識するだけで、どこを比べればよいかが自然と見えてきます。
結果の表より先に、1行目の目的に線を引く――この順番を変えるだけで、パニックはかなり防げます。

減点を防ぐ!理科の記述問題と図表読解で必須となる"解答の型"
記述問題で「内容は合っているはずなのに部分点しかもらえない」というのも、よくある悩みです。
これは、採点基準を満たす言葉の型が使えていないことが原因です。
都立の記述は、条件と結果を対比させる論理構成が求められます。
例えば電解質を答える問題なら、「中性の水溶液であること」「電流を流すための電解質であること」の両方に触れる必要があります。
物理分野の水圧・浮力なら、「〇〇に比べて△△は、□□が大きいため、××は大きくなる」という比較の型を使うと減点を防ぎやすくなります。
過去問を解いたあとに模範解答を書き写し、言葉のつなぎ方を体に染み込ませることが、記述問題の恐怖心を減らす近道です。
都立理科の「よく出る問題」を最新の過去問データから徹底分析

出題パターンが一定の傾向を持つ都立理科は、実は対策しやすい科目です。
配点構造と最新の出題テーマを具体的に見ていきます。
- 小問集合だけで40点分を占める
- 大問6で浮力が主役として初採用
- 湿度や天体は縦軸と横軸をまず確認
大問構成と出題意図に隠された「4点×25問」の完全固定形式
都立理科が対策しやすいとされる理由は、大問ごとの役割や配点に一定の傾向がある点にあります。
試験時間50分の中で、大問1〜6はすべて1問4点で採点され、合計25問・100点満点という設計です。
| 大問 | 分野・役割 | 小問数 | 配点 | 読解・思考負荷 |
|---|---|---|---|---|
| 大問1 | 4分野の基礎知識問題 | 6問 | 24点 | 極めて低い(一問一答レベル) |
| 大問2 | 日常生活のレポート読み取り | 4問 | 16点 | 低〜中 |
| 大問3 | 地学(天体・気象・大地の変化) | 4問 | 16点 | 中〜高 |
| 大問4 | 生物(細胞・遺伝・生殖) | 4問 | 16点 | 中 |
| 大問5 | 化学(イオン・電池) | 4問 | 16点 | 高 |
| 大問6 | 物理(力・電気・浮力) | 3問 | 12点 | 極大 |
注目したいのは、大問1と大問2を合わせた小問集合だけで40点分を占めているという事実です。
大問6の物理や大問5の化学は読解・計算の負荷レベルが高く時間を奪われがちですが、大問1の一問一答レベルの問題も全く同じ配点価値を持ちます。
したがって、まずは小問集合(大問1・2)を確実に回収することが合格への鉄則です。
▶都立高校入学者選抜 学力検査問題・正答表(東京都教育委員会)
【物理・化学】2026年度に合否を分けた最新の実験テーマ解説
令和8年度の物理・化学分野では、これまでの傾向とは異なる特徴的なテーマが出題されたとされ、対策の偏りが明暗を分けた可能性があります。
物理分野の大問6では、「ばねと浮力・仕事・水圧」が本格的な大問として採用されたと報告されています。
2012年の指導要領改訂で浮力が復活して以来、都立の物理大問で浮力が主役になったのは今回が初めてとされています。
例年は電流や運動・エネルギーが定番テーマだったため、過去問の出題傾向だけを見て対策を絞っていた受験生は、本番での対応に時間がかかった可能性があります。
さらに問3では、おもりの体積設定に数値上の誤りがあったとされ、東京都教育委員会が受検者全員に一律4点を加点する措置を実施したと報告されています(詳細な人数・対象校数は最新の公式発表でご確認ください)。
不測の事態に直面した本番において、以下の浮力のルールを正確に頭の中に整理できていたかが重要でした。
| 浮力の重要ルール | 受験生が陥る失点の引き金と現場解説 |
|---|---|
| 1. 水中の体積に比例 | 水中に沈んだ物体の体積が大きくなるほど、受ける浮力は大きくなる |
| 2. 水深(深さ)は無関係 | 浮力の大きさは沈んだ部分の体積のみに比例し、水深には依存しない |
| 3. ばねばかりが示す値 | ばねばかりの値=(物体の実際の重力)-(物体が受ける浮力) |
化学分野の大問5では、新指導要領で加わった「ダニエル電池・イオン化傾向」が出題されたとされています。
亜鉛板・銅板の2種類の金属と、セロハンによるイオン移動の仕組みの理解が問われています。
過去問10年分を暗記ベースで解くだけの対策では、こうした新傾向テーマには対応しづらくなります。
教科書の実験・観察ページに立ち返り、仕組みそのものを理解しておくことが重要です。
▶理科学力検査問題(理科)における誤り及び採点上の対応(東京都教育委員会)
【生物・地学】資料読み取り問題の出題パターンと攻略の裏ワザ
生物・地学分野は、柱状図や天体の投影図などビジュアル情報が多く、問題を開いた瞬間にパニックを誘発しやすい大問です。
地学分野(大問3)では、湿度計算や天体の動きが頻出です。
ここで重要なのは、グラフの縦軸・横軸を最初に確認し、不要な会話文の情報を捨てることです。
湿度を求める問題であれば、長いリード文の中で実際に必要な数値は「現在の気温」と「露点(または水蒸気量)」の2点だけ、というケースがほとんどです。
生物分野(大問4)では、「有性生殖と遺伝」が高い頻度で出題されています。
減数分裂による染色体数の変化や、顕性・潜性の形質発現比率(3:1の法則)は、ビジュアルが変わっても結論は変わりません。
資料を見る前に「この実験はどの生殖方法を扱い、遺伝子の組み合わせがどう変化するか」を一言メモに書き出すだけで、パニックはかなり抑えられます。
量頼みのローラー作戦はNG!都立理科で点数を伸ばす正しい勉強法

「とにかく量をこなさせなければ」という焦りから、他県の問題集に手を広げてしまう保護者は少なくありません。
保護者の方からは「不安なので問題集を増やした方がいいですか」とよく相談されますが、都立理科ではまず大問別に失点原因を分ける方が先です。
ここでは都立理科に合った演習の順序を見ていきます。
- 大問1で3問以上間違えたら中断
- 3日間の教科書回帰が最短の近道
- 大問を分野ごとに解く縦割り演習
過去問演習に入るか教科書へ戻るかを見極める「大問1の正答率」
秋以降、「もう過去問を回さなければ」という焦りに駆られる保護者や受験生は多いものです。
基礎知識に穴が空いたまま過去問演習を強行しても、時間と自信をすり減らすだけで得点は伸びません。
現場で徹底している判断基準は、大問1(小問集合)の正答率です。
計算・記述を除いた純粋な知識問題で、3問以上間違える、あるいはケアレスミスだと言い訳する状態であれば、過去問演習は一度ストップすべきタイミングです。
判断基準を整理すると、次のようになります。
- 大問1の知識問題のミスが2問以下 → 基礎知識は合格水準。分野別の縦割り演習へ進む
- 大問1の知識問題のミスが3問以上、またはケアレスミスと弁明する → 基礎知識に穴あり。過去問演習は一時中断
3問以上ミスがある場合は、中学1・2年の教科書を並べ、「実験・観察ページ」の太字だけでなく、図版・実験手順・試薬名・観察結果の写真まで細かく見直す時間を3日間つくることをおすすめします。
「今さら教科書に戻るのは遅れを取る」と感じるかもしれませんが、都立理科の小問集合はこの教科書の実験・観察ページからほぼそのまま出題されています。
3日間の教科書回帰は遠回りではなく、もっとも効率のよい近道です。

解答時間44分を意識して分野別に解く「過去問の縦割り演習法」
基礎知識の穴が埋まったら、いよいよ過去問演習に入ります。
ここで多くの受験生が陥るのが、年度ごとに古い順から解いていく「横解き」です。
都立理科は大問ごとに出題パターンが近い傾向があるため、横解きでは分野特有の「型」が身につきにくいのが実情です。
現場で効果を上げているのが、大問を分野ごとに引き抜いて解く「縦割り演習」です。例えば「大問3(地学)だけを10年分続けて解く」「大問6(物理)だけを続けて解く」といった進め方です。
不安から他県の問題集を大量に解く「ローラー作戦」に走る受験生も多いのですが、出題傾向が違う他県の問題では、都立特有の時間配分や読解の型は身につきません。
他県演習をいったん止め、都立の過去問を分野ごとに縦割りで解く方が、パターンに慣れることができます。
演習の際は、大問1つあたり10分(8〜12分)を目安に、見直し6分を確保した「実質44分」で解き切る感覚を体に覚えさせましょう。
解き終えたあとの振り返りも重要です。
ただ〇×をつけるだけの「やったつもり」を根絶するために、以下のセルフチェックシートを活用してみてください。
- □ 問題文1行目の「実験の目的」に線を引けていたか
- □ グラフの縦軸・横軸の条件(単位)を正しく認識できていたか
- □ 対照実験で「変化させた条件」を1つに絞れていたか
- □ 記述問題で部分点を逃す必須の指定用語(電解質など)が抜けていないか
- □ 「〜のため、〜と考えられる」という因果関係の型で書けているか
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【Q&A】都立高校入試の理科対策に関するよくある質問

ここでは、保護者や受験生からよく寄せられる疑問にお答えします。
Q.都立入試の理科が「難しい」と感じる本当の原因と克服法は?
原因は暗記の難しさではなく、文章と図表を同時に処理する読解負荷の高さにあります。
都立理科は1つの大問に「レポート文」「観察手順」「結果の表」「条件を変えた図」など、大量の情報が同時に提示されます。
これらを頭の中でつなげる負荷が、他県に比べて重いのです。
克服のトレーニングはシンプルです。問題文に登場する数値や条件に印をつけ、不要な日本語の装飾を取り払って情報を整理する習慣をつけましょう。
グラフの縦軸・横軸の単位を指でなぞって確認するだけでも、読み違いはかなり減らせます。

Q.理科の計算問題(電流や化学変化)が苦手ですが捨てても良い?
志望校の得点目標によりますが、小問集合が確実に取れているなら優先順位を調整することは可能です。
小問集合(大問1・2、合計40点)でほぼ得点できる基礎力があり、志望校の目標得点が60〜70点前後であれば、大問5・6の複雑な応用計算問題をすべて後回しにし、残りを記号選択に賭ける戦略も選択肢の一つです。
計算問題を完全に捨ててしまうのではなく、まず小問集合で確実に取れる点を固めたうえで優先順位を決めるのが安全です。
進学指導重点校など理科で80点以上を目指す必要がある場合は、1問4点の計算問題を後回しにすることが不合格に直結しかねません。
まず確認すべきは、小問集合で確実に得点できる知識があるかどうかです。
そのうえで、目標得点と照らして計算問題への向き合い方を判断してください。

Q.直前に飛び交う理科の「出題予想」はどこまで信じて良い?
予想に頼った学習は、むしろリスクが高いといえます。
直前期になると「今年は地学が出る」「化学が本命」といった予想がネット上に広がりますが、
これを信じて学習を偏らせるのは危険です。
実際、令和8年度は多くの予想サイトがノーマークだった「ばねと浮力」が大問6として出題されたとされ、準備が薄かった層に影響を与えた可能性があります。
都立理科の対策の本質は、どのテーマが来ても崩れない「実験目的の把握」と「図表読解の型」を鍛えることにあります。
予想はあくまで参考程度に留め、縦割り演習で培った読解力を高めることに時間を使いましょう。

Q.出題形式がガラリと変わるような理科の「予想外の難化」への備え方は?
大切なのは、「自分だけが解けないわけではない」と意識すること、そしてその場のルールを丁寧に読み解く姿勢です。
令和8年度の大問6問3のように、想定外の出題ミスや見慣れない新傾向のグラフが登場することがあります。
こうした場合でも、多くは問題文の中に「その場で解くためのルールやヒント」が記されています。
難化したと感じた瞬間は、記憶を探るのではなく、問題文に書かれた条件に立ち返り、目の前のデータを一つずつ整理することが解決の糸口になります。
まとめ:【2027年版】都立理科の対策と入試傾向|よく出る問題と勉強法

最後に、これまでの内容を整理し、次に取るべき行動を確認しましょう。
都立理科のハックに必須な「実験目的の把握」と「縦割り演習」の要点
都立理科で確実に得点を伸ばすための道筋は、シンプルに整理できます。
大問1の正答率(3問間違い基準)を我が子の現在地の目安にし、基礎に穴があれば中1・2の教科書の実験・観察ページへ戻ること。
問題を解く際は、必ず問題文1行目の「実験の目的」に線を引いてから図表に向き合うこと。
過去問は年度順ではなく、分野ごとの縦割り演習によって都立特有の出題パターンと時間配分の感覚を身につけること。
闇雲に量をこなす学習から抜け出し、パターンの理解に集中することが、遠回りに見えて実は最短のルートです。
基礎固めと知識定着を加速させる次のステップ
大問1・2の小問集合をより盤石にするためには、教科書レベルの重要語句や公式を体系的に総復習することが役立ちます。
また、教科書への立ち戻り学習を終えたあとは、知識の定着度を一問一答形式で手早く確認する方法も、次のステップとして有効です。
我が子の現在地に合わせて、無理のない学習ロードマップを一歩ずつ進めていってください。
基礎固めと知識定着を加速させる次のステップ
都立高校入試では理科だけでなく、英語・数学・国語・社会も教科ごとに出題傾向や対策が異なります。
5教科全体の得点力を高めたい方は、各教科の対策記事もあわせて確認してみてください。
【2027年版】都立理科の対策と入試傾向を解説した執筆者のプロフィール

※この記事は、算数・数学・理科の指導経験が豊富な葛城健吾が執筆しています。学習塾での指導経験をもとに、教育現場の知見を記事に反映しています。
葛城健吾は、学習塾で小学生・中学生を対象に、算数・数学・理科を指導してきました。基礎から応用まで「なぜそうなるのか」を大切にした指導を得意としています。
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