
※この記事には一部PRが含まれます。
「5教科のテスト勉強はあんなに必死にやっているのに、どうして実技の内申点は上がらないの?」
「先生との相性で決まっている気がして、なんだか納得がいかない……」
通知表を囲む食卓で、そんな重い空気が流れたことはありませんか。
本記事は、27年以上にわたり学習塾で多くの中学生と保護者の内申相談に向き合ってきた編集部の知見をもとに、実技4教科(副教科)の評価が「なぜ分かりにくいのか」「実際にはどこを見られているのか」を構造的に整理したものです。
私はこれまで学習塾での経験から、数えきれないほどの通知表と、それに一喜一憂する親子を見てきました。
「うちは運動能力が低いから」「芸術のセンスがないから」と諦める前に、まずは評価の舞台裏にあるルールを客観的に理解することから始めてみましょう。
記事のポイント
才能やセンスが評価のすべてではないこと
主要教科と同じ「3つの観点」で採点されていること
「結果」以上に「改善のプロセス」が見られていること
提出物や振り返りシートが極めて重要な証拠になること
Contents
はじめに|実技4教科の内申点が分かりにくいと感じる理由

実技4教科の内申点は、点数では測れない授業中の取り組みが評価の中心となるため、保護者から見ると基準が不透明で分かりにくく感じられやすい教科です。
主要5教科であれば、返却されたテストの点数からある程度の成績が予測できます。
しかし実技教科の場合、評価の材料となる活動の多くが学校の授業内で完結し、家庭からは見えにくいという特徴があります。
塾の面談でも「テストは80点だったのに、なぜ『3』なのですか?」という相談を頻繁に受けますが、この「見えない頑張り」と「評価」のギャップが、モヤモヤを生む最大の原因です。
実技4教科の内申点はどのような考え方で付けられているのか

実技4教科の内申点は、全教科共通の「3つの観点」に基づき、テストの結果だけでなく日々の学習プロセスを多角的に分析して付けられています。
文部科学省が定める学習評価の在り方では、単なる技能の優劣ではなく、資質・能力の三つの柱をバランスよく評価することが求められています。
- 主要5教科と共通の「3つの観点」に基づき多角的に判断される
- 実技テスト、ワークシート、振り返りカードが重要な数値化資料となる
- 完成した作品だけでなく、そこに至る「試行錯誤」が重視される
実技教科も他教科と共通する評価の枠組みがある
現在の評価制度では、実技教科も主要教科と同じ「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点で構成されています。
- 知識・技能:ルールや手順の習得
- 思考・判断・表現:工夫や意図の表現
- 主体的に学習に取り組む態度:粘り強い取り組みと自己調整
このように、評価の土台となる考え方は全教科で統一されています。

テストがない教科でも成績が付けられる理由
実技教科の成績付け方においては、ペーパーテストの代わりに、実技テストやワークシート、授業中の観察記録が数値化されます。
例えば、毎時間の「振り返りカード」の記述内容は、生徒が何に気づき、どう改善しようとしたかを示す重要なデータとなります。
一発勝負ではなく、学期を通じた細かなデータの積み重ねが成績に反映されます。

結果よりも過程が重視されやすい背景
実技教科では、最終的な作品の完成度や記録だけでなく、そこに至るまでの「試行錯誤」が重視される傾向があります。
たとえ技術が未熟でも、先生のアドバイスをどう取り入れ、自分なりにどう修正したかというプロセスが評価される仕組みです。
これは、自らの学びを調整する姿勢そのものを評価するためです。
実技教科の成績は先生にとっても判断が難しい

実技教科の成績は、先生が限られた授業時間の中で大勢の生徒を多面的に観察する必要があるため、客観的な「証拠」を慎重に収集しながら判断されています。
私が学校現場の先生方と意見交換をする中で感じるのは、先生方も「どうすれば生徒の納得感を得られるか」に非常に心を砕いているということです。
- 一人の先生が数百名を評価するため、客観的な「証拠」を重視する
- 提出物や記述式の記録が、公平性を保つための重要な根拠となる
- 上手さだけでなく「学習目的への理解」が評価の分かれ目になる
授業中の様子が評価の中心になりやすい事情
実技教科は授業そのものが評価の場であり、用具の準備、片付けへの関わり方、集団活動での役割など、多面的な様子が観察されています。
これらの振る舞いの一つひとつが、先生の手元にある評価記録に断片として蓄積されており、日々の態度は非常に重く扱われる傾向があります。

家庭からは見えにくい評価材料が多い理由
家庭に持ち帰られるのは完成した作品のみであることが多いですが、評価の多くは制作途中のプロセスで行われます。
例えば音楽で、「他者の表現を聴いて自分の奏法にどう活かそうとしたか」といった瞬間的な態度は、通知表の数字になって初めてその影響を実感することになります。

誤解が生まれやすいポイント
「センスがないと良い成績は取れない」という考えは、よくある誤解の一つです。
実際には、技能が平均的であっても、学習の目的を正しく理解し、真面目に振り返りを行っている生徒が高評価を得るケースも多いです。
外から見える「上手さ」と、評価基準である「観点」のズレが誤解を生む原因となります。
体育・美術・音楽・技術家庭で評価の見られ方が違う理由

実技4教科の内申点は、各教科が目指す教育目標によって重視される観点のバランスが異なり、教科ごとの「評価のツボ」が存在すると考えられています。
一般的に、各教科の評価における視点は以下のように整理できます。
| 教科 | 重視されやすい視点の例 |
|---|---|
| 体育 | 技能の向上、集団活動での貢献、安全への配慮 |
| 美術 | 発想の工夫、技法の活用、鑑賞による自己省察 |
| 音楽 | 表現の意図、歌唱・奏法の基礎、音楽の構造理解 |
| 技術家庭 | 手順の正確さ、課題解決の論理性、生活への活用 |
体育で重視されやすい観点
体育の内申点では、運動能力そのものよりも、自分の課題を見つけて改善しようとする姿勢が重要視されます。
体育の成績がどのように付けられるかという点において、チームメイトへの前向きな声掛けや、準備運動への真剣な取り組みといった「主体性」の面が評価を左右することがよくあります。

美術で見られやすい取り組みの姿勢
美術の内申点においては、「上手な絵」を描くこと以上に「意図を持って描いているか」が見られます。
以前、絵が苦手だった生徒が「なぜこの技法を選んだのか」をワークシートにびっしりと書き込んだところ、見事に「思考・表現」で高評価を得たケースもありました。
感性の鋭さに関わらず、論理的な裏付けが評価に繋がります。

音楽で見られやすいポイント
音楽の内申点では、歌唱力や演奏技術以上に、鑑賞の時間に音楽の特徴を捉えて自分なりの言葉で表現できているかがポイントになります。
グループ活動において、周囲と調和しながら音楽を作り上げようとする協調的な態度も、判断の分かれ目となります。

技術家庭で判断されやすい部分
技術家庭科の成績付け方においては、手順の正確さと共に、学んだ知識を「生活の課題解決にどう活かすか」という視点が問われます。
実習後のレポートが充実しており、失敗した際にどう工夫して修正したかが具体的に記述されていると、評価に繋がりやすいです。

才能や得意不得意だけで決まる理由
どの教科にも共通しているのは、学習内容の「到達度」を測っているという点です。
苦手な種目であっても、基本的なルールを理解し、授業の目的に沿って自分なりに改善の努力をしていることが証明できれば、多くの学校で一定以上の評価が得られる仕組みになっています。
実技教科の内申点が低く感じやすい原因

実技教科の内申点が低く感じる主な原因は、親子の考える「頑張り」と学校側の評価基準にズレがあるためです。
生徒の「休まず受けた」という主観に対し、先生はそこから一歩踏み込んだ「自分なりの工夫」という自己調整の形跡を評価対象として求めています。
- 本人・保護者の考える「頑張り」と、学校側の「評価項目」にズレがある
- 「真面目に出席する」だけでは、高評価に必要な「主体性」に届かないため
- 授業数が少ないため、短期間での評価の挽回が難しいため
頑張りが数字に表れにくい教科であること
主要5教科のように、暗記量や演習量がそのまま点数に直結するような分かりやすい相関が見えにくいのが実技4教科の難しさです。
授業中の「質の高い取り組み」が、先生側の評価尺度と一致しているかどうかが、結果を左右します。

子どもと保護者の受け止め方のズレ
お子さまの「頑張った」が受動的な態度である場合、評価が平均的な位置に留まるケースが見受けられます。
一方で、先生が求める「主体性」とは、自ら課題を見つけて工夫する能動的な姿勢を指しています。
親御さんの目には「真面目」に映っていても、学校では「積極性」としてカウントされていない場合があるのです。

短期間では評価が変わりにくい構造
実技教科は授業数が少ないため、一度定まった印象を覆すための判断材料が集まりにくいという特徴があります。
一回の実技テストでの逆転は難しく、学期を通じた安定した取り組みが評価の基盤となります。
内申点で副教科が重く扱われることへの疑問

高校入試において実技4教科の内申点が重く扱われるのは、学力試験では測れない「日々の誠実な学習態度」や「多様な資質」を公平に評価したいという意図があるためです。
東京都の高校入試制度などの事例に見られるように、実技教科の評定を2倍にして計算する仕組みは、中学校生活全体を大切にさせるための教育的な配慮に基づいています。
- 学力検査では測れない「日々の誠実な態度」を評価に反映させるため
- 主要5教科のテスト結果と同等、あるいはそれ以上に合否を左右するため
- 実技を通じて「正解のない問いに立ち向かう力」を育てる意図があるため
副教科が評価に含まれる意図
教育の目的は、単なる知識の詰め込みではありません。
音楽や体育、芸術を通して得られる「協力する力」や「創造する力」は、社会で求められる重要な資質です。
これらを評価に含めることで、全人的な成長を促す狙いがあります。

実技教科が軽視されていない理由
実技教科で培われる力は、正解のない問いに立ち向かう力に直結しています。
高校側も、そうした「人間的な幅」を持った生徒を求めているため、入試における実技教科の影響力は非常に大きいのが一般的です。

「実技教科はいらない」と感じてしまう背景
忙しい受験生にとって実技教科の負担が重荷に感じられることもありますが、ここで「いらない」と切り捨ててしまうと、授業態度に現れ、結果として入試で不利を招くというリスクが潜んでいます。
実技4教科の内申点とどう向き合えばよいのか

実技4教科の内申点に対しては、すぐに結果を求めようとせず、まずは評価の仕組みを親子で共有し、現状を冷静に受け止めることから始めるのが望ましい向き合い方です。
これまで多くの親子を見てきて確信しているのは、親御さんが「評価の仕組み」を理解するだけで、お子さまへの声掛けが劇的に優しく、かつ具体的になるということです。
- 短急な結果を求めず、まずは通知表の「観点別評価」を分析する
- 「B」や「C」の項目を確認し、具体的な改善策を親子で共有する
- 家庭で実技教科を肯定し、子供が学びを言語化する機会を作る
すぐに内申点を上げようとしなくてよい理由
内申点は一朝一夕に変わるものではありません。特に実技教科は先生との信頼関係や、学期を通じた態度の積み重ねが重要です。
急激な変化を求めるよりも、まずは「何が評価のボトルネックになっているのか」を冷静に観察する時間を持ちましょう。

まず評価の仕組みを理解することの大切さ
通知表の観点別評価を見て、どの項目が「B」や「C」になっているのかを親子で確認してみてください。
「思考・判断」が低いのであれば、ワークシートを丁寧に書くといった具体的な改善の方向性が見えてきます。

家庭でできる関わり方の考え方
保護者にできることは、実技教科に対する肯定的な雰囲気を作ることです。
お子さまが制作中の作品について関心を持ったりすることで、お子さま自身が自分の学びを「言語化」する機会が増え、それが学校での評価に繋がるケースもあります。
実技4教科の内申点を考えるうえで知っておきたい関連知識

実技4教科の内申点は、都道府県によって入試での扱いが異なるため、お住まいの地域の正確な情報を把握しておくことが冷静な判断の助けになります。
| 項目 | 一般的な傾向 |
|---|---|
| 反映される時期 | 多くの地域で中学3年生の成績が重視される |
| 実技教科の重み | 地域により、5教科の1.5倍〜2倍で計算されるケースがある |
内申点全体の仕組みを理解する視点
5教科と実技4教科を合わせた合計の中で、自分の位置を把握することが重要です。
内申点はいつの成績が評価されるのかといった情報を参考に、長期的な視点で計画を立てましょう。

数字だけに振り回されないための考え方
通知表の数字は一つの指標に過ぎません。
内申点はどこから高いのかの目安を把握しつつ、数字そのものよりも「何ができるようになったか」という成長のプロセスに目を向けることが、結果的に良い評価を呼び込むことに繋がります。
よくある疑問|実技4教科の内申点に関するQ&A

実技教科の内申点に関して、現場で多く寄せられる疑問をQ&A形式で整理しました。
- 提出物の徹底や行動の改善により、成績を上げることは十分に可能
- 副教科は当日の筆記試験がない分、日頃の努力が重く配点される
- 受験戦略において、実技教科は効率よく点数を稼げる「守りの要」となる
Q.実技教科の内申点は本当に上げられるものなのか
はい、多くのケースで改善が可能です。
私が見てきた生徒でも、提出物の期限を厳守し、先生のアドバイスを振り返りシートに具体的に記録するようにしただけで、次の学期に評価が1段階上がった例は多々あります。

Q.副教科が内申点で2倍扱いされるのはなぜなのか
当日の学力試験がない分、日頃の努力を配点に反映させるという意図があります。
これにより、当日のテスト結果だけでは測れない「日頃の授業を大切にする姿勢」を合否判断に組み込んでいます。

Q.実技教科は高校受験では重要ではないという考え方は正しいのか
多くの公立高校入試では、実技教科の配点が高く設定されているケースが多く、軽視すると不利になる可能性があります。
主要教科のテスト数点分が、実技の評定一つの差で相殺されることもあるため、重要度は非常に高いと考えるのが一般的です。

Q.実技4教科はどのように勉強すればよいのか
実技4教科との向き合い方において大切なのは、「自分の活動を客観的に振り返ること」です。
なぜその動きをしたのか、どこを修正すべきかといった気づきを言語化して先生に伝えることが、最大の対策になります。
まとめ|実技4教科の内申点は仕組みを知ることで見え方が変わる

実技4教科の内申点は、決して「才能という名のブラックボックス」ではありません。
先生が評価規準としている「3つの観点」を理解し、お子さまの取り組みをその基準に照らし合わせてみることで、納得のいく改善のヒントが必ず見えてきます。
まずは「うちの子にはセンスがないから」という思い込みを脇に置き、お子さまと一緒に「今回の通知表ではどの観点が評価されていたかな?」と冷静に振り返ってみることから始めてみてください。
仕組みが分かれば、次に何をすべきかが自ずと見えてくるはずです。
執筆者のプロフィール
【執筆者プロフィール】

塾オンラインドットコム【編集部情報】
塾オンラインドットコム編集部は、教育業界や学習塾の専門家集団です。27年以上学習塾に携わった経験者、800以上の教室を調査したアナリスト、オンライン学習塾の運営経験者、ファイナンシャルプランナー、受験メンタルトレーナー、進路アドバイザーなど、多彩な専門家で構成されています。小学生・中学生・受験生・保護者の方々が抱える塾選びや勉強の悩みを解決するため、専門的な視点から役立つ情報を発信しています。
塾オンラインドットコム:公式サイト、公式Instagram
高校受験のその先、大学受験を見据えた学習環境をお探しの方には、姉妹サイトの「予備校オンラインドットコム」が役立ちます。高校生向けの勉強法や志望校選びのポイントなど、役立つ情報を幅広く発信しています。ぜひ、あわせて参考にしてください。
▶大学受験対策なら!予備校オンラインドットコム